柵越え連発!イチ流バッティングに大歓声
イチローさんのフリーバッティングが始まった。全選手の視線を浴びる中、ライトへの大きな当たりに「ウォー!」と歓声が上がる。場外ホームランには拍手が起こった。
部員:エグい!
イチロー:何で引っ張っているか、みんな知ってる?知ってる人?
部員たち:…(無言)
イチロー:知らないんだ、中越高校。引っ張りは形崩すでしょ。レフトはね(体を)閉じてるから形作りやすい。引っ張りはどうしても下(下半身)もはやく(体が)開いてしまう。その一番キープしづらい形を作るため。それができていれば、ゲームに入っていける。準備が整う。ここさえ良い形を作っておけば怖くない。だから引っ張る。
イチローさんもバッターボックスの中で、試行錯誤しながらスイングを繰り返す。中越の渡邊櫂史選手(2年)に出番が回ると、イチローさんも見守る中、豪快に打球を飛ばし続けた。イチローさんは「ラスト1本、入れて終わろうか」と声を掛けた。
すると、1年生の秋からレギュラーの渡邊選手はその直後、ライトへ柵越えのホームランを放った。その弾道を見たイチローさんは「ウォー、これはすごい!」と大興奮。着弾すると、選手たちからは大歓声が上がり、大きな拍手も起こった。イチローさんは、渡邊選手のもとに歩み寄りハイタッチをかわした。
「よし、ラストラウンドね」と言って、渡邊選手に代わり最後のフリーバッティングに入ったイチローさん。この日、63スイング中9本の柵越えをするなど部員たちはその姿に釘付けとなった。グラウンド内は何度も何度も歓声と拍手に包まれた。
野茂さんから打ったプロ第1号の地で、32年ぶりに柵越えを放ったイチローさんは・・・。
イチロー:入ったときにずいぶん広いなと思って。引退すると球場も広く見えるのかと思ったら、本当に広くなってたっていうね。それは安心しました。練習だから別に高ぶることはないけど、(当時の)僕が打ったホームランの写真はないんだなっていうね。そりゃそうだよね、知らない選手だから「鈴木」なんて。野茂さんの写真はバッチリ(あって)。それは野茂さんが来たことが大きなことだから。僕は打った後の写真しかないっていう、そうだよなぁって。














