市街地でも相次ぐ“クマ被害”。環境省は、今年4月から9月までのクマの出没件数が2万792件だったと発表。死亡した人も確認されているだけで13人にのぼり、過去最多となっています。こうした中、クマ被害が相次ぐ秋田県は陸上自衛隊と、箱わなの運搬など後方支援活動に関する協定を締結しました。 クマの目撃情報は京都の観光地でも。10月25日から27日にかけて、京都の嵐山や太秦付近の住宅地などで複数の目撃情報が寄せられています。これからまさに観光シーズンに入る京都ではどんな対策が必要なのか、森林総合研究所の大西尚樹氏への取材を交えて解説します。
個体数が増え生息域も拡大…京都でも目撃情報が相次ぐ

環境省が発表した4月~9月のクマ出没件数は2万792件で過去最多となりました。なぜこれほどまでにクマが増えているのか。森林総合研究所・大西尚樹氏は「“敵”であるハンターが減ったことによる個体数の増加」「かつての里山が過疎化でヤブになったことによる生息域の拡大」を挙げています。
東北での目撃情報が多いクマですが、関西でも増えてきています。京都府のクマ出没情報マップによると、昨年度まではクマが生息しないとされていた京都南部で、今年は目撃情報が相次いでいます。その理由として大西氏は、「クマが増える中でもともとのすみかで“競争”に負けたクマが来たのではないか」と推測します。
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大阪・兵庫・京都でのツキノワグマの出没状況について、「2007年~2011年」と「2020年~2024年」のデータを比較すると、特に京都で出没数が増え、範囲も広がっていることがわかります(大阪府立環境農林水産総合研究所より)。大西氏はこうした現状について「手を打たないと、10年~15年後には中心地以外はクマ生息域になる」と警鐘を鳴らしています。














