津波浸水想定をまとめた岩手大学・南正昭教授

 今回の浸水想定を受け、沿岸12市町村はハザードマップを見直す方針です。このうち宮古市と大槌町は早ければ秋ごろまでに改訂し、配布を行う用意があるとしています。
 今回の浸水想定をどのようにして住民へ周知していくかについては、12市町村のうち8つの自治体が住民説明会を開き周知を図っていくとしています。残る4つは自治体主催の出前講座を開くほか、「対応を検討中」としています。
 ここから見えてきたのは自治体側の戸惑いと重くのしかかる庁舎の問題です。浸水想定をまとめた県の専門委員会の委員長を務める岩手大学の南正昭教授は、まずは庁舎が機能を維持するための対策を考える必要があると指摘します。

(岩手大学理工学部 南正昭教授)
「役場が機能を失うということはあってはならない。すぐまた建て替えというのはなかなか難しいかもしれない。上の方の階を使う、あるいはそうした司令塔機能は別途に設ける。高台、いわゆる津波が来ないところにそうした機能をしっかりと設けておかなければならない」

 南教授は今回の公表を踏まえて「次への備え」につなげて欲しいと呼びかけます。

(岩手大学理工学部 南正昭教授)
「『避難』というソフト対策、そして『津波防災の地域づくり・まちづくり』といった側面から始めていくということになる」

 震災からの復旧・復興が終盤を迎えている被災地に突きつけられた新たな課題。いつ来るか分からない次の大災害に備えて、準備を着実に進めることが求められています。