
その地域の一つ、久慈市湊地区の上組町内会の指定避難所となっているのは金比羅神社です。住民は159段もある急な階段を上って社務所まで避難しなければなりません。
(上組町内会の役員)
「年寄りが息を切らして上がっていくことが避難の時できない。だから生き残るのは若くて元気な人だけ。避難所とはいえ避難所とはならない」
湊地区は明治、昭和の大津波の教訓から、東日本大震災が発生する以前の2006年に自主防災会ができました。しかし高齢化が進んだ今、活動に限界も感じています。上組町内会長の中澤きみ子さんはこう話します。
(上組町内会 中澤きみ子会長)
「一人暮らしのお年寄りがいて手押し車で歩いているけれど、訓練で一人で歩いて避難してもらったら30分以上かかってしまった」
こうした住民の声に自治体はどう応えるのか…。
(久慈市 遠藤譲一市長)
「浸水区域が広範囲にわたるということは、(避難の)対象となる住民の人数が多くなる。その人たちがしっかりと避難できる場所をどこにどれくらい整備をするか、年内にできるかどうか、もう少しデータを取っていかないといけない」
久慈市は中心部も広く浸水区域に含まれていて、県の想定では3階建ての市役所庁舎は最大6.85メートル浸水するとの見通しが示されました。これを踏まえ遠藤市長は…。
(久慈市 遠藤譲一市長)
「市役所はこの場所でいいのか、老朽化もしているので移転を含めてしっかりと対策する必要がある」
久慈市と同じ様に防災の要である市町村の庁舎が浸水域に入るのは、ほかに8市町村あります。取材に対し庁舎の移転を「検討中」としたのは久慈市のみで、そのほかの8市町村は「未定」あるいは「考えていない」との回答でした。