いかなる事があっても「戦争絶対反対」
<藤中松雄の遺書 二人の息子へ 1950年4月6日>
だから父は孝一、孝幸ちゃんに願って止まない事は、如何なる事があっても、
「戦争絶対反対」
を生命のある限り、そして子にも孫にも叫んで頂くと共に、全人類がこぞって願う
「世界永遠の平和」
の為に貢献して頂きたい事であります。
遺書の文中、「戦争絶対反対」と「世界永遠の平和」は、大きな文字で一行ずつ書かれている。幼い子供たちが読めるように、漢字にはところどころ、読み仮名がふってある。
<藤中松雄の遺書 二人の息子へ 1950年4月6日>
孝ちゃんはたった一人の弟、孝幸ちゃんが限りなく可愛いでしょうな。そして孝幸ちゃんはたった一人である孝一兄ちゃんが限りなく慕わしい事でしょう。たった二人の兄弟だからな。
ここまで書いたら、先生が来て下さり、髪と爪を切って頂く。またお出になると、意釈礼拝聖典と観音経を頂く。
教誨師の田嶋隆純氏がたびたび、松雄の部屋を訪れて寄り添っている。
肉親を愛するように他人も愛して
<藤中松雄の遺書 二人の息子へ 1950年4月6日>
取り急ぎ走らせる。孝一、孝幸ちゃん、兄弟が親しみ愛しあうのは、兄弟として当然な事であります。そればかりじゃ世界は平和にならないのです。肉親の兄弟を愛しあう様に、他人も愛してゆかねばなりません。家内が親密な様に、それを他の家にも、さらに他の国にも及ばしてゆかねば、世界平和建設は出来ないのです。
孝一、孝幸ちゃん、父がいないため、老いの身もいとわずおじいちゃん、おばあちゃんは、母ちゃんは、どんなに孝一、孝幸ちゃんのためにご苦労なさっているか、決して決して忘れないでね。可愛い可愛い孝一、孝幸ちゃんよ。
「はじめて今、涙が出た」顔を洗ってなお続ける。
















