およそ40年にわたり親しまれたJR松本駅のアナウンスが、設備更新に伴って11月で変更されます。
ただ「何らかの形で残してほしい」と惜しむ声も大きく、松本市にも市民などから多くの声が寄せられています。市も「声」の活用方法を含め、検討を始めています。こうした中、「声の主」が初めて松本を訪れました。
11月1日。JR松本駅に、1人の女性が降り立ちました。

「着いた~!聞こえる!リアルで聞いた!」
この人こそ、松本駅で長年親しまれた列車の到着アナウンスの「声の主」、声優の沢田敏子さんです。

およそ40年前に導入されて以来、ホームで流れる自分の声に初めて耳を傾けました。
今回の訪問は、沢田さんのアナウンスが使われなくなると聞いた交流のある鉄道ファンから誘いを受けての事です。

沢田敏子さん:「ありがとうございます、ずっと長く使っていただいて。本当にありがとうございますっていう感じ」
「まつもとぉ~、まつもとぉ~、まつもとぉ~、終着、松本です」
印象的な、このアナウンス。およそ40年前、当時の国鉄が自動音声を導入した際、オーディションで選ばれた沢田さんが吹き込んだものです。

沢田敏子さん:「(他の駅は)淡々と駅名と番線でもいわゆる情報を伝達するっていうレベルだったんですけど、本当ここだけは違った。(音源の)制作者の方から松本はちょっと今までとはまた違った雰囲気でお願いしますって言われて、アルプスに登山する方たちが乗り降りする駅で、そしてとっても空気が澄んでって言ったの」

試行錯誤の末に録音した「声」は、松本駅に欠かせない名物として定着しました。
沢田敏子さん:「あれはね、やっぱりね、少しのんびりとね発音してるからだと思うの。だから何となくほっこりするっていうか」
しかし、旅情をかきたてるアナウンスも、設備更新に伴って、今月17日からは新しい音声に変更されます。

沢田敏子さん:「少しでもね耳に残していただいたら、なんか松本に降りたときの思い出の中に、その音が脳に響いてくれたらいいなって思いますけどね」
今回、沢田さんを松本に招いたファンも感慨はひとしおです。

松本市・古田宗範さん:「あって当たり前の存在でした。本当にそれがなくなると思うと寂しいですね。と同時に、40年も続いていたんだなと思うと、長く活躍してきたんだなと思って、沢田さんのアナウンスにはお疲れさまでしたと言いたいです」
最後に沢田さんが特別に“生アナウンス”を披露してくれました。
「まつもとぉ~、まつもとぉ~、終着、松本です」
松本市にも、市民などから「何らかの形で残してほしい」という声が多く届いているそうで、現在、できることがないかを模索しているということです。
沢田さんの「声」による松本駅のアナウンスは、11月16日の最終列車が最後となります。JRでは、安全の観点から棒の先にマイクなどを付けて録音する行為は控えるよう呼びかけています。














