良い思い出となっている出雲駅伝のアンカー決戦

平林は自身の“ベストレース、または最も印象に残っているレース”を2つ、ロジスティードのホームページに掲載している。そのうちの1つが「第36回出雲駅伝」である。4年時だった昨年、國學院大が5年ぶり2回目の優勝を果たした。平林は2位と4秒差のトップで中継所を出たが、篠原に間もなく追いつかれた。だが4km過ぎに篠原を引き離すと、2位の駒大に40秒差をつけてフィニッシュした。

第36回出雲駅伝の平林選手

平林は昨シーズンの同学年対決について、以下のような思いを持っている。「出雲と全日本は篠原選手、太田選手と3人の競り合いでしたが、3人ともチームの主力で、チームを代表して戦っているような印象がありました。そこでの勝負は大きな経験になったと思います。全日本もチームが勝って、箱根はチームが負けて(3位)しまいましたが、その2大会は個人で離されてしまいました。出雲はチームも優勝して、個人でも2人に勝つことができたので、競技人生の1つのポイントになる良いレースだったと思います」

昨年の学生駅伝を沸かせたルーキー同士の対決が、東日本実業団駅伝で実現するのだろうか。平林自身は「エース区間を希望として出した」が、ロジスティードの別府健至監督は「あまりプレッシャーをかけたくない」というコメントもしていた。ニューイヤー駅伝では「2区か3区」と前半の重要区間を予定しているが、東日本ではアンカーの7区など、後半区間起用も考えているようだった。

今年は周回コースになり、道路を走る駅伝より差がつきにくくなると、話を聞いた指導者全員が答えていた。実際、コロナ禍期間に行われた20、21年大会は、今回と同じ周回コースで開催されたが2大会ともアンカー勝負になった。大物新人2選手が7区に起用される可能性は低いが、昨年の出雲の再現となる確率も「0」ではない。だが平林は、自身の同学年対決よりも「チームで戦う意識を持っていきたい」という。最上級生だった昨シーズンは、自身の走りが自然とチームを代表する形になったが、今年は多くのルーキーが「チームに貢献したい」とコメントをしている。チームを引っ張るのは先輩たち、という部分が潜在意識としてあるのだろう。