●漆芸工房・諸見由則さん
「はっきりいって天然の方が難しいですよ。ザラザラしている。油と混ざりも悪い。一番悪いのはこせない。色味がないのは駄目です。すぐ却下ですよ」

天然顔料のハードルの1つが色味。
「平成の復元」で使った市販の顔料と、採取した天然顔料を桐油に混ぜて比べてみれば…その差は歴然。天然顔料はムラがあり、茶色がかっています。

北部一帯の鉱物を探しては、サンプルを作る。この繰り返し。雲を掴むような途方もない調査。しかし幸喜さんが人づてに聞いたある話から急展開を迎えます。
●幸喜淳さん
「地元の中学生が、自分たちが『血の川』と呼んでいる赤い川があるんだと。季節によっては本当に赤くなると。これなんじゃないかと、一番の可能性としては、と思いました」

何度も訪れた北部地域も、「川」の調査は初めてのこと。そこには文字通り「赤く染まった川」が。赤の正体は、水中のバクテリアがつくった酸化鉄でした。泥を乾かし、焼いてみると綺麗な弁柄に。
 
   
  













