取材した記者が解説 「財産移転」で生じる懸念

もし旧統一教会の解散が確定し、財産が天地正教に移転した場合どうなるのか。教団が社会的に注目されるきっかけとなった安倍元総理銃撃事件を発生当初から取材している海老桂介記者に聞きました。
―――宗教法人には税制優遇があり、▽宗教活動で得た収入(お布施など)、▽活動する敷地や建物への固定資産税は非課税です。今後、旧統一教会の解散が確定した場合はこうした税制優遇がなくなりますが、これによりどういったことが考えられますか?
(海老桂介記者)「まず裁判所の監督のもとで清算手続きが行われます。教団が持っている不動産や預金をリストアップして、債務の整理をしていく。旧統一教会に関しては献金の問題があるため、その献金の被害者たちの救済が全て終わった段階で、ようやく解散となります。その時点で財産が天地正教に移る。これは文化庁によると制度上は可能だということです。天地正教はあくまで別の法人ということになるので、紐づいて解散とはならないわけです」
―――旧統一教会が任意団体になると、宗教法人の天地正教に資産が移されることになりますが、この「救済後の移転」についてはどう捉えればいいですか?
「旧統一教会の解散が確定した場合、任意団体になるので税金を払わなくてはいけなくなります。ただ、宗教法人として税制優遇を受ける天地正教に中身が移って、看板を付け替えただけのような状態になる。極めて反社会的な行為をしていたとされる教団の実態が残ったまま、宗教法人格を維持して税制優遇を受け続けると。つまり解散命令が形骸化してしまうということになりかねません」
「旧統一教会が天地正教を財産の移転先に指定したのが2009年ですが、当時、霊感商法が社会問題化して刑事事件にも発展して有罪判決も出ていた。そのときに、これはもしかしたら解散命令が下るかもしれないという防衛本能で、財産移転先を指定していた可能性があるわけです。そのときに旧統一教会に対してより強い措置がとられていれば、今回の安倍元総理銃撃事件にもつながらなかった可能性がある。そこで出てくるのが自民党とのつながり、政治とのつながり。旧統一教会に強く政治が踏み込めなかったのではないかと思われます」
旧統一教会は解散命令を巡って現在係争中で、東京高裁が今年度内にも判断を示す見通しです。














