「焦りはありませんでした」
髙見さんが駆け付けたことで、現場には5人が集まった。心臓マッサージは髙見さんが引き継いだ。
「焦りはありませんでした。ただ、昔の記憶をたどりながらマッサージを続けました」
やがてAEDや救急隊が到着し、男性は心肺停止の状態で病院に運ばれた。5人の連携は、いち段落した。
「あの男性は助かったのだろうか…」
その日以来、村井さんは通勤ルートを歩きながら考えていた。
2週間ほど経って、消防から電話があった。「男性は回復傾向にある」という。話を聞けば、ごみ捨ての途中で倒れたようだ。
そして村井さん達5人は、今回の人名救助で消防から表彰を受けることになった。














