ロシア国内で戦闘機の基地となっている飛行場などが相次いで攻撃を受け、急遽、国家安全保障会議を開いたプーチン大統領。ロシア軍の規約によれば「戦略爆撃機が攻撃された場合には核兵器による反撃が認められている」とある。果たして会議では核の使用についても議論されたのか。戦争は新たなフェーズに入るのか…。一方、冬を迎えた前線でも戦い方が変わりつつある。今回は軍と市民それぞれに直接話を聞き“真冬の戦争の現実”を議論した。

■「敵が想像もつかない秘密を知っています」

南部戦線のヘルソンではドニプロ川を境にウクライナ軍とロシア軍が対峙していたが、ウクライナ軍の一部が川の東側に到達し鉄塔にウクライナ国旗を掲げた。この南部戦線を指揮するウクライナ軍の司令官に話を聞いた。現地は真冬になり泥濘期から凍結期に入り車輛が動けるようになったという。彼女は「大変な時期だが進軍は止めない。戦争は冬に始まったし、地域や天候の特性は自分たちがよくわかっている」と語る。

ウクライナ南部防衛司令部 ナタリヤ・グメニュク大佐
「ロシア軍が川沿いから撤退しているのは、ウクライナ軍の重火器が稼働し、そこに残るのは安全ではないと理解した証拠です。キンブルン半島は海域の奥にまで入り込んだ陸地であり黒海の船や対岸などほかの地域を攻撃できる戦略的ポイントです。」

更に黒海に突き出たキンブルン半島を取り返せば穀物輸送の安全も確保できる。今後ウクライナ軍はドニプロ川のどこを渡り、東岸に進むのか聞くと…。

ウクライナ南部防衛司令部 ナタリヤ・グメニュク大佐
「私たちはこの地域を熟知しているし、敵が想像もつかない秘密を知っています。その秘密は勝利した時公開しますよ。」

想像もつかない秘密とは、一体どんなことなのだろうか。小泉氏に聞いた。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「とんでもない秘密通路があるとかって話じゃないと思う。たぶん南部作戦コマンド―の人たちはこの辺(ドニプロ川下流域)を歩いたんじゃないですか。自衛隊の方の体験記なんかを読んでみても、どこかの師団の幕僚になった時は自分の担任地域は獣道一本に至るまで歩いた、なんてことを書いている方もおられた。陸軍の参謀はそんなことをするんですよ。このくらいの季節ならこの砂州の凍結は人間なら歩けるが戦車は無理だとか・・・。そういうレベルで地面のことを知っているから、このくらいの凍ってる時期はここを通っていけば、こうなるとか知ってるんじゃないですかね」

南部戦線ではウクライナ軍が意気軒高な様子だが、戦場となった町で暮らす市民は冬を迎え一層過酷な日々を過ごしている。特に東部の冬は南部に比べかなり厳しい・・・。