「早くやりなさい」母の首を絞めた日
そして、「その日」はやってきました。
午後、男性が買い物から帰宅すると、母親は転倒し、床に倒れていました。
男性(62)
「『ベッドに立てる?』と言ったら、立てなくて。マットを敷いて寝かせたんです」
そのままマットの上で寝ていた母親。いつものように夜中に目を覚まし、男性に「殺して」と迫ったといいます。
その場はやり過ごしますが、朝方、再び母親が目を覚まします。

男性(62)
「大声出して暴れたりして、絶対もう明日はないという、自分でも覚悟決めていたのか。『早くやりなさい』と言われて。自分も『終わりにしたいな』という気持ちもありました」
母親を残して、逃げ出すことも考えました。
男性(62)
「自殺するとか、見捨てることも、しようと思えばできた。だけど、母親ひとりが痛いのを我慢しながら死んでいくことを想像したら、(逃げ出すことは)できないですよ。『早く首絞めて』って。それで、投げたネクタイを(母親が)自分で巻いて、『後ろを引っ張って首絞めるだけだから』と」
最後に、こんな会話をしたといいます。

男性(62)
「『犯罪者になってしまうから、(経緯を)ちゃんと言うんだよ』と言われて。『本当にいいの?』と言ったら、『もうこれでいいよ』と言ったので。その時、何も抵抗しないで、顔も平然として。ずっと強く締めたんだけど、何も抵抗しなかったですよね」
母親を殺害した男性。自らも、命を絶とうとした時、亡き父の声が聞こえたといいます。
男性(62)
「『お母さんを頼むな』『ちゃんと見守って、迎えてやれ』『だけど母親は(死を)希望するんだから、それはそれで、もうしょうがないよ』と」
男性は110番通報し、自首しました。














