「あわやホームラン、残念!」のおかしさ

神戸:スポーツの言葉で、元々『放送で気になる言葉2025』の中にあったのが「あわや」。

“攻撃側が「もう少しでホームランだったのに残念」と言うつもりで「あわやホームラン」と使うのは誤りだ(21ページ)”

神戸:よく覚えているんですが、同じ解説が小学校の国語の教科書に載っていました。

田畑:「あわや」は、「大惨事」とかに使いますね。

神戸:「悪いことが起きそうだったけど、起きなかった」時ですね。「あわや大事故につながるところでしたが」というような感じ。「あわや大ホームラン…残念!」という言い方はおかしい。打たれた相手チームだったら別かもしれませんけど。

中井:「あわやホームランを打たれるところでした!」

神戸:野球ファンの中で、「あわやホームランだったのに」って使う?

中井:使っている方は、いるかもしれないです。

「ロケットが打ち上がりました!」もNG

神戸:野球の話題が出てきましたが、もう1つ。『放送で気になる言葉2025』に「打ち上がる」という言葉が出ていました。

“ロケットや花火の打ち上げに際し、「~が打ち上がりました」とリポートするケースが見受けられる(59ページ)”

田畑:「打ち上がりました」…何か違和感ありますね。

神戸:「実際に放送で使われているのを聞いたことがあるな」と思いました。

“人が打ち上げるものなのだから、ロケットや花火を主語にするなら、「~が打ち上げられました」が自然な言い方だろう(同)”

神戸:ロケットが、自分で勝手に打ち上がりましたー!

田畑:ああ、もうAIの時代か…そういうことじゃないですもんね。

神戸:勝手に打ち上がりはせずに、打ち上げられるものなんですよね。主体が一致してないから、違和感を持つわけです。でも「ロケットが打ち上がりました」と確かに聞くので、注意した方がいいと思います。野球では「フライを打ち上げました」と言いますよね。

田畑:これはいいですね。「打ち上がりました」とは言わないですね。

神戸:主語が何なのか、によって変わるんだろうと思います。