『放送で気になる言葉2026』で採用してほしい

神戸:それから、「今の現状」という言い方をする人が近くにいるんです、と言う方もいらっしゃいました。

田畑:あ、それこそ昨日、どこかの放送で聞きました。

神戸:え、放送局の人間がしゃべった?

田畑:そうです。

神戸:アナウンサーの世界では絶対怒られるよ。

田畑:よく例に挙げられる重複表現の中に「今の現状」を入れましょう。これも「採用」ですよね。

神戸:「今の現状」はアウトだよね。

田畑:「現在の状況」が現状ですから。「今の現在の状況」というよくわからないことになります。

神戸:「船に乗船する」とかね。

田畑:「骨を骨折しちゃって」「頭痛が痛てー」みたいな。

神戸:「今の現状」、採用です! 面白いですね。前回もご紹介しましたが、『放送で気になる言葉2025』(税別600円)は、日本新聞協会のホームページから一般の方でも買えるようになっていますので、興味があったら読んでみてください。こんな議論をするのも楽しいかも。

田畑:自分のことも反省しながらね。

神戸:メッセージをくれた方、ありがとうございました。

田畑:「学び」がありました。

神戸:ははは、「気づき」もね。

『放送で気になる言葉2025」』(日本新聞協会発行)

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)

1967年生まれ。学生時代は日本史学を専攻(社会思想史、ファシズム史など)。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。東京社会部勤務を経てRKBに転職。やまゆり園事件やヘイトスピーチを題材にしたドキュメンタリー映画『リリアンの揺りかご』(2024年)は各種サブスクで視聴可能。最新作のラジオドキュメンタリー『家族になろう ~「子どもの村福岡」の暮らし~』は、ポッドキャストで公開中。