■“いじめの一般化”を示すデータ
「深刻ないじめは、どの学校にも、どのクラスにも、どの子どもにも起こりうる」というのは、1996年1月に当時の文部大臣が出した緊急アピールの一節だ。この表現が、単に比喩でなく、実態そのものだと示すデータもある。
森田が講演で例示したのは、国立教育政策研究所による「いじめ追跡調査」だ。1998年から18年間、日本全体の状況を推測できる地方都市で繰り返し調査し、経年的な変化を追ったものだ。3年ごとに発表され、最近では2013年から2015年の調査がある。
調査は、某市の全小学校と中学校で、小学校4年生から中学3年生までの全児童およそ800人を対象に行われた。2010年に4年生だった小学生が2015年に中学3年生になるまでの「いじめ経験」を6年間にわたり年2回、計12回、聞いた。
それによると小学4年生から中学3年生までの6年間を通してでは、「仲間はずれ・無視・陰口など暴力を伴わないいじめ」を「された経験がある」という被害経験者が、なんと9割もいた。さらに驚くことに「した経験がある」という加害経験者も9割に上ったのだ。
いじめ問題は1980年代から社会的関心を集めているが、今や特定の子どもたちの問題ではなく、かなり多くの子どもたちが関わっていることが顕著にデータとして表れた。
いじめ予防第4回「コロナで心配ないじめの増加」
執筆者:TBSテレビ「news23」編集長 川上敬二郎














