高市氏「現実的になれるか」に注目

そうなると、注目されるのは24日に予定されている高市氏の所信表明演説だ。

『双日総合研究所』吉崎達彦さん:
「ここでどんなメッセージを打ち出してくるのか。サナエノミクスみたいなことを言うのか、それとももう少し物価高対策みたいなことを言うのか。特に大事なのが翌週29・30日にある日銀の金融政策決定会合。高市さんが総裁になったことで金融政策の見通しが少し難しくなってきている」

――高市氏は安倍元総理の後継者を自認していてアベノミクス的な政策を進めると見られているが、2012年の第2次安倍政権発足時と今では「経済状況」が全く違う

▼実質GDP成長率
【2012年:-0.1%(10~12月期)】
【2025年:0.5%(4~6月期)】
▼消費者物価指数
【12年:-0.1%(12月)★デフレ】
【25年:+2.7%(8月)★インフレ】
▼日経平均株価
【12年:1万395円】
【25年:4万7582円】
▼長期金利
【12年:0.802%】
【25年:1.629%】
▼ドル円相場
【12年:86円74銭★円高】
【25年:150円59銭★円安】

吉崎さん:
「アベノミクス2.0が今必要かというと私はちょっと違うと思う。高市さんとしては『安倍さんのころは良かった』と思ってる人たちにどうしても味方をしてもらいたくてそれに近い言い方になるわけだが、そのまんまをやったら今はまずい」

心はアベノミクス。しかし実際にやる政策は、現実的に物価高を見据えたインフレ時代の対策。そういう「現実との折り合いをつけられるかどうか」が注目だという。

その意味でも吉崎さんは、2022年秋に登場した「2人の女性リーダー」の名前をあげる。

▼英国で3人目の女性首相「トラス氏」(在任:49日)
▼イタリア初の女性首相「メローニ氏」(在任:2022年~現在)

吉崎さん:
「トラス元首相は就任後すぐ『減税だ』と言って、その瞬間に英ポンドと英国債が暴落し短命政権になった。メローニ首相は元々EU離脱などかなり過激な意見の持ち主だったが、“やることは割と現実的”で、もう3年続いている。トランプ大統領ともEUのフォンデアライエン委員長とも良い関係という不思議な安定感のある政治をやっている。どちらをお手本にすべきかっていうと、当然アジアのメローニを目指すべきではないか」