「ちはやふる」と「スティンガース」

倉田 「ちはやふる-めぐり-」(日テレ)ですが、かるたに限らず、青春時代に仲間と一緒に一つのことに情熱を傾ける、それってやっぱりいいなと感じました。年をとってもまだそこに感動できた自分がちょっとうれしかったです。

田幸 私はもともと原作が好きで楽しんで見ました。映画版(2016・18)の10年後を描いているんですが、原作者がプロットから参加しているからこその、原作ファンも文句の言いようがない出来栄えでした。

あと、映画の「ちはやふる」は、広瀬すずさん演じる千早ちゃんという、割とがさつで残念だけど圧倒的なヒロイン、もう本当に主人公にしかならないような女の子が主人公で、気持ちのいい物語でしたが、今回描いたのは主人公じゃない側の人たちでした。

圧倒的ヒロインタイプの原菜乃華さんに対して、コンプレックスを抱いている當真あみさんをメインに置いた、そこが非常に今どきの設定でした。大体の人は主人公になれない側なので、今回の設定に共感する方が多いんじゃないかと思います。

さらに物語をつなぐ存在として、上白石萌音さんが先生役で出ています。教養も品もあって、言葉を大切にする人が過去と今をつなぐという形も見やすくて、上白石さんの存在感もすごいなと改めて思いました。

影山 上白石萌音、よかったですね。

田幸 彼女は声もいいですよね。

影山 森川葵さん主演の「スティンガース」(フジ)が気に入って、次週が楽しみでした。森川さんは器用な人で、笑いのセンスもあってお芝居もうまい。その彼女がおとり捜査専門で事件を解決していく物語です。

最後の3話は結構シリアスですが、ベースはお笑いというか、わかりやすく言えば「ルパン三世」チックなユーモアがある。脚本は「おっさんずラブ」(2016~24・テレ朝)の徳尾浩司さんで、緊張感があるけれども楽しんで見られる、その辺のバランスがうまかったのでもっと話題になってもよかったと思います。

田幸 森川さんはいろんなチャレンジをどんどん成功させている、おもしろい方ですね。