最新作は週刊誌デスク役 「ドラマを面白く」ベテラン勢が現場で奔走

ドラマストリーム『スクープのたまご』より

――ドラマストリーム『スクープのたまご』(TBS系)では、週刊誌「週刊千石」の編集部を舞台に、デスク役の北浜功一役を演じられています。作品に入られる際に、役作りなどはされましたか?

そうですね…、役作り…。お察しの通り、僕は普段から、役作りはあまりしないです(笑)。

――今作の撮影前に、何か準備されたことはありますか?

もちろん、原作小説は読みました。もう、めちゃくちゃ面白かったです。普段は映画ばかり見ていて、活字で本を読むことがあまりないのですが、読んでみたらすごく面白くて。漫画も読んでみたら、それもやっぱり面白くて。で、それを実写ドラマ化するということは、滑れないわけですよね。より面白く、原作ファンの方にも楽しんでいただけるようにするためにはどうしたらいいか、と考えましたね。

――実際に脚本を読まれて、いかがでしたか?

ドラマ化するにあたって、一部の設定が変わったりすることもある中で、今作に関しては、原作の小説に忠実に、すごく誠実な脚本に仕上がっているなと感じました。さらに僕がとても“美しい”と思ったのは、ドラマ版では原作小説が終わった少し先の未来まで描いているというところです。

原作を読み終えた時に知りたかった未来が描かれているところに、ドラマ化の意味があるんだなと僕なりに感じて、とても美しい企画だなと思ったんです。だから、「なんとかして面白くしないといけない」と、ますます思いましたね。

――実際に「面白く」するために、現場で実践されていることなどはありますか?

小説や漫画と違って、ドラマでは生身の人間がいて、言葉のやり取りがあって、一緒にいる空間があります。そこでしか生まれないようなことは、できるだけ足そうと、目線のやりとりや笑顔の向け方、付け足すセリフなどを考えています。

台本のト書きと違う動きも、視聴者により楽しんでもらえるように、現場でそれがハマるかどうかなど、試しながらやっていますね。1カットずつ、これでいいのかということは、常に考えています。

――これまでも、現場ではそうしてきましたか?

世知辛い話になりますが、1話だけのゲストでポンと行く場合は、それを言い出すと、わりと“面倒くさい”俳優になることがあるのではと思っていて、「うんうん、そういう細かいアイデアとかいらないの。いいから、やって!」とか。特に連ドラは、放送日が決まっていますから。

今回、レギュラーで入らせていただいて、しかもチームものなので、チームの人間関係をより濃くしていく方が、見ている方は楽しいのではと思います。

――チームものということで、何か工夫していることなどありますか?

今回僕は、班の中では立場のあるデスクの役を演じているので、例えば台本上では「大介」と呼ぶところを、「大ちゃん」と呼んだり、「州崎(すざき)さん」も、デスクの立ち位置だったら「スーさん」でいいかな、とか、監督にもドライ(カメラを使用せずに行うリハーサル)の時間などを使って見せていますね。

年長者であり、座組の中でも年配者の僕の方から積極的に“ミスをしに行く”ことによって、他の人も試しやすくなる環境が生まれるんじゃないかなとも思っているんです。今回、大倉空人さんや佐藤友祐さん、主演の奥山葵さんも若いですし、僕ら「おじさん」たちが積極的にやっていった方が、作品がより豊かになるんじゃないのかなと思っています。