「外国人との共生はマスト」多くの外国人暮らす浜松市
浜松市は人口約78万人のうち、3万人あまりが外国人だ。ブラジルの食料品スーパーもある。

ーー客は基本的にブラジルの人ですか?
店員
「ブラジル、フィリピン、ペルー、ベトナム、たくさん来る」
1990年の入管法改正をきっかけに、定住者の資格を得た日系人とその家族が、スズキ、ヤマハなど製造メーカーがある浜松市に多く移り住んだ。
自動車部品会社「ソミック石川」は、従業員2000人あまりのうち約1割が外国人だ。海外進出とデジタル化を強化する中、ITや新規事業などの部署で、外国人社員はこの6年で5倍以上増えた。
工場のデジタル化に向けたシステムを開発するインド出身のサジャンシチイ・ビナヤカさん(27)。2022年に来日、静岡大学の大学院でコンピューターサイエンスを学び、2024年に入社した。

サジャンシチイ・ビナヤカさん
「ロボティクスやAIの仕事をするのが夢でした。その夢と同じ仕事をしてるから、とてもやりがいがあります」
管理職になった社員も複数いる。韓国出身の朴慶奎さん(39)。2025年1月、管理職に昇進した。英語と日本語で業務にあたる。

ICTインフラサービス室 朴慶奎 室長
「日本の国籍のみなさんのみならず、ひとりの人間として多国籍のみなさんも同様な立場として接してくださる組織文化を持っている。非常に良いと思う」
様々な国籍の従業員が増えたことで社内の環境を変える難しさはあったが、それ以上に得られるものが大きいという。

海外人事部 石田一馬 部長
「ずっとメンバーと日本語で喋っていた人が、英語で喋らないといけない。英語で資料を作らなきゃいけない。そういう意味ではすごく大変。そういう日本人とコミュニケーションを取らないといけない外国人サイドもすごく大変だと思う。
これまでの日本人だけではなくて、違うバックグラウンドを持った人にチームに入っていただいて、新しい価値観を見出すための協業をしていくことがすごく大事」
浜松市では、外国人住民の生活を手厚く支援している。
日下部正樹キャスター
「日本語教室は浜松市の多文化共生センターの会議室を借りる形で行われています」
週に一度、約20人が集まり日本語の勉強をしている。参加するのは、ベトナムやインド、台湾などの人たちだ。
ーーどうして日本に?
インド出身
「主人が車の会社スズキで働いています」

ーー周りの日本の人たちは優しくしてくれますか?
「とても優しい。隣のおばあちゃん、いらっしゃいます。よく私の家にいらっしゃってます。仲良くしています。毎日来ます。インドの料理も大好きです」
20年続く、この日本語教室。浜松市からの支援を受けながら、ボランティアが活動を支える。

ーー今回の自民党総裁選、外国人規制が大きな争点になっていますが、いかがですか?
にほんごNPO 鉄村直哉さん(62)
「将来を考えると、外国人との共生はやらないといけないこと。マストだっていうこと。しっかり良い面を伸ばすのはどうすればいいか、悪い面を排除するにはどうすればいいか。大括りではなく個別にどうするかを考えていかないとまずい」
受け入れ後は「自治体任せ」 “外国人との暮らし”議論深まらず…
外国人との共生に、積極的に取り組んできた静岡県の鈴木康友知事。
2025年7月、全国知事会を代表して「外国人の受入と多文化共生社会実現に向けた提言」を国に手渡した。
静岡県 鈴木康友 知事
「44の知事が参加をいただき、ほぼ全会一致でまとまった」
しかし、今回の総裁選では、外国人と共にどう暮らすかという議論は深まらなかった。

ーー外国人を入れないままで、将来をどう担うかという議論は?
静岡県 鈴木康友 知事
「あり得ないと思います。国のスタンスが非常に曖昧なまま、これまで外国人を受け入れてきた。受け入れた後の対策は、国としてしっかり取れないのが今の状況で、問題は現場の自治体にしわ寄せが来る。自治体任せになっていることが大きな問題」