開票まであと3日に迫った自民党総裁選。各陣営の担当記者が候補を深掘りし、選挙戦略を解剖します。今回は林芳正候補です。

「経験と実績」を武器に総裁選に臨んでいますが、ここに来てかなりの追い上げをみせてきているようです。

ひろゆき氏の無茶振りから見えた、林氏の実直さ

井上貴博キャスター:
まずは林芳正氏(64)の経歴をみていきます。

【主な役職】(林芳正 公式HPより)
官房長官
文部科学大臣
農林水産大臣
外務大臣
防衛大臣 など

山口3区で衆院当選2回、参院当選5回のベテランです。過去には要職を歴任しており、こういったところから「経験豊富」と言われています。

あとは、“政界の119番”ともよくいわれていますね。

TBS報道局政治部 堀宏太朗 記者:
林氏はこれまで、不祥事などで辞任した閣僚の後を継ぐケースが多かったです。直近でいうと、不記載問題で事実上の更迭となった松野博一氏の後任で、官房長官となったケースがあります。

さらに、林氏は誕生日が1月19日=119ということで、“政界の119番”と呼ばれるようになりました。

井上キャスター:
安定感が抜群だといわれている部分もあるようです。

TBS報道局政治部 堀 記者:
答弁が安定しているので、「この人なら任せられる」という信頼感があるのだと思います。

井上キャスター:
どのような質問が来ても、経験豊富なので当意即妙、その場で答えることができるということですね。

堀記者が注目したのは、9月27日に行われたインターネットの討論番組で、司会を務めたひろゆき氏からアドリブで質問があったシーンでした。

ひろゆき氏
「総理大臣になったらトランプ大統領と話をするってことなんですけど…。(英語で)日本をどんな国にしたいか、英語で1分で説明してください」

この質問に対して日本語で回答する候補者もいましたが、林氏は次の内容を英語で答えたのです。

林芳正 官房長官
「すべての人たち、特に若い世代にとって平和と希望に満ちた国にしたい」

ひろゆき氏
「英語で喋ったほうが分かりやすいし、いいこと言ってますよ」

また、討論会の最後のシーンで…

ひろゆき氏
「自分以外で、この人が総理大臣になってほしいと思う人を指さしてもらいたいんですけど」

会場に独特の空気が流れ、1分ほどして他の4人は誰も指をささないなか、「目をつぶりましょう」というところから林氏だけが指をさしました。

TBS報道局政治部 堀 記者:
ひろゆき氏の質問は結構、無茶振りだったと思います。「自分が総裁になりたい」という人たちが揃っている場なので、なかなか他の候補を指さすことは難しい状況だったのではないでしょうか。

そのようななかで林氏は一人、指をさしていました。これは林氏自身の実直さ、素直さが出たシーンだったのではないかと私は感じました。

井上キャスター:
林氏は幅広い分野に精通しているので、“政策の職人”なんて言われ方をします。

この討論会では少し笑顔が出たり、当意即妙で答えられたり、“人”としての部分も見られたといわれていますが、どのようなことを感じましたか?

ミッツ・マングローブさん:
ひろゆき氏との討論会が一つのキーポイントになるというのは、党内や閣僚の皆さんのなかでも前々から話題になっていました。ここでいろいろなものが詳らかになる可能性があり、風向きが左右されるというのは、私も少し噂では聞いていました。

林氏は今回、まさにそれがいい形で出たのではないかと私は思いました。