警察庁の調査では、過去1年間に3人に1人が「あおり運転」をされた経験があるという。「車間距離を詰める」「幅寄せ」「執拗なクラクション」など、身近な脅威に遭遇した時、身を守るためにできることとはどんなことなのか、専門家に聞いた。
■「これって私に鳴らしてる?」執拗なクラクションに焦る筆者
穏やかな土曜の朝だった。筆者は自身が運転する車で、4歳の子どもをスイミングスクールへ送り届ける途中だった。スクールは商業施設の5階にあるため、施設内の立体駐車場の上り坂を上がっていた。その時、“事件”が起きた。
後ろから車がスピードを上げて近づいてきたのだ。そして大きくこちらに向かってクラクションを鳴らす。
「ブーブ―!」
はじめ、このクラクションは「危険を知らせるもの」と解釈した。何かあったのかなと、安全運転をより心掛けた。しかし、クラクションは止まなかった。筆者の車が先行しながら、立体駐車場を上る間、相手は車間距離を詰め、執拗にクラクションを鳴らし続けたのだった。

筆者の運転に何か問題があったのだろうか。立体駐車場という“一方通行”の構造では、逃げることは難しい。不安、焦り、ハンドルを握る手には汗がじっとりだった。ようやくスペースを見つけ、駐車し、相手を先に行かせることができたが、筆者の前を相手の車が横切る際、運転手の男性は一度止まり、車中から筆者を思い切り睨みつけてきた。
怖かった。そして、後ろの車のことで頭がいっぱいで、運転自体が疎かになっていたことに気づき、もし何か不測の事態が起きていたら対応できていただろうかと、血の気の引く思いがした。あおり被害にあったとき、どうすればいいのだろうか。