米経済は「ソフトランディング」に?
利下げと同時に、FRBは今後の経済の見通しも発表している。
【2025年FOMC経済見通し】※()内は6月の予想からの増減
▼物価上昇率:3.0%(±0)
▼GDP成長率:1.6%(+0.2)
▼失業率:4.5%(±0)
▼政策金利:3.6%(-0.3)
――利下げしておきながら、GDP成長率は多少上がるけど、失業率と物価上昇率は変わらないですよと言っているようにみえる
『慶應義塾大学』総合政策学部教授 白井さゆりさん:
「一見そう見えるが、利下げ分も織り込んだ上で、失業率はもっと上がるところを抑えられた。成長率はむしろ上がる方向に上方修正されていて、インフレの方は相互関税率の引き上げもあって上昇していくけれども、思ったほど価格転嫁していないのでその分で抑えられるという見通しになっている」
つまりは、ソフトランディングのシナリオをFRBが描いているということだという。
年内利下げ「あと1回の可能性も」
では、今後の利下げの見通しはどうなのか?
FOMCの参加者19人による政策金利の見通しを見ると
【2025年末の金利を9人が3.6%と予測】⇒年内残り2回の会合で、通常ペースの2回分に当たる0.5%の利下げを見込んでいることになる。
一方で、年内に更なる利下げは必要とないとしているのが7人。FRBの中でも意見が割れているということなのだろうか。

『慶應義塾大学』総合政策学部教授 白井さゆりさん:
「19人のうち投票権を持つのは12人で、実際にどうなるか本当にわからないぐらい、今のアメリカ経済の判断は難しい。8月に関税率が引き上げられて、今のところは転嫁率は大きくないが、今後どうなっていくかわからない。利下げをして経済も良くなるから、一応あと2回ということになっているけども、1回になる可能性もあると思う」
――アメリカ経済の今後を見る上で、一番心配な点は?
白井さん:
「やはり今、失業者数が増えていてレイオフの数も増えているので、労働者への需要が弱いということ。そこのところがこれからも持続するかというのが、利下げをする上で重要なポイントになる」
(BS-TBS『Bizスクエア』2025年9月20日放送より)