深刻な人手不足を受けて、商品を自動で届ける「自動配送ロボット」の実証実験が進んでいる。ロボット開発のスタートアップ『LOMBY』の内山社長(40)が考える、物流におけるロボットの可能性とは?

スマホで注文⇒「ロボットがお届け」

「ロボットが走行しています」
可愛い声を出しながら歩道や住宅街の道を走って行く四角い箱―。

東京・八王子市で、5月から実証実験が始まった自動配送ロボット「LOMBY(ロンビー)」だ。

4つの車輪がついたボックス型で、全長97cm×高さ約90cm×幅約64cm。
時速6kmで自律走行し、信号の色を認識して横断歩道を渡ることはもちろん、歩道を横切って道路に出ようとする車があれば一時停止をして道を譲る。

『セブン‐イレブン』の宅配サービス「7NOW」で注文された商品を配達員に代わり客の元へ届けるロボットとして、南大沢エリアの2店舗で計4台の実証実験が進んでいる。

客はアプリで購入商品や住所を入力し、店員が商品をロボットの荷台に積み込む。
ロボットは記憶した地図情報を頼りに出発し、到着するとスマートフォンに通知が届き、商品を受け取ることができる。

『セブン‐イレブン・ジャパン』東原ひかるさん:
「全体の注文の約3~4割はロボットで配送している状況。地方圏では“労働の人口が少なくて人が配送できない”という問題があり、都市部でも24時間営業のところでは、“夜間の労働人口は少ない”状況。さらに今“人件費が高くなっている”部分もあるので、将来に備えて今のうちから“新しい配送手段”を検討している」

小さいボディに「技術が集結」

開発したのは、2022年設立のスタートアップ企業『LOMBY』(東京・品川区)。
従業員の約半数が海外出身のエンジニアだ。

実際に自動配送ロボット「LOMBY」を見せてもらった播摩卓士キャスターが、横から力を入れて押してみると…

播摩キャスター:
「思ったより頑丈な作り。倒れたらどうするのかと思ったけど、押しても倒れない」

LOMBYには、自動走行を可能にする様々な機能が搭載されている。

まずは、【前面にある2つのカメラ】
1つは遠隔監視用。人が遠隔でモニタリングするためのカメラだ。
もう1つは信号機認識用カメラ。信号の色を認識して自動で止まったり進んだりする。

上部にある円柱状の突起は【3Dライダー】
レーザー光を出して、周りの物や歩行者などとの距離や方向などを測定する技術で、自動運転の車などにも使われているものだ。

また、ロボットの重要な部分である足回りに使っているのは、自動車メーカー『スズキ』が開発した電動台車【モビリティベースユニット】

デコボコな砂利道もよれることなく直進し、多少の段差であれば乗り越えていく“高い走行性能”を誇り、重さ100kgの物を載せた状態で、最大斜度8°の坂道も上ることができる。

『スズキ』Eモビリティ開発部 村田智晴さん:
「電動車いすをベースにしていて、でこぼこや段差を乗り越えた時に向きが変わってしまわないように、常にまっすぐ四輪が接地して“まっすぐ思った方向に進めるように”作っている。“四輪全部がバラバラに動く”かなり凝った作り。スズキの電動車いす事業は今年で50年目で、長年積み重ねてきたものがある」