天国から一変!人生初のフライング
2021年6月、憧れの先輩・泉谷と大舞台で対決する機会が訪れた。日本選手権の決勝。すでに村竹は予選で参加標準記録を突破し、あとは日本選手権で3位以内に入れば東京五輪代表の条件をクリアする大一番だった。
「とんでもない天国と地獄を味わった」
しかし、人生初のフライングで村竹は失格。優勝した泉谷は東京五輪の切符をつかみ、同種目の日本勢として57年ぶりに五輪での準決勝進出を果たした。
「憧れから敵に変わった…」ついに泉谷を超え初の五輪入賞
「倒さなくてはいけない敵なんだなっていうような認識にどんどん変わっていった。憧れから敵に変わったってやつですね」
泉谷が華々しい活躍をする中、村竹は悔しさをバネに己を厳しく追い込み続けた。持ち味の爆発的な加速を生み出す低い姿勢のスタートに多くの時間を割いて磨いた。

2023年、世界陸上ブダペスト大会で泉谷が日本勢初の5位入賞を果たした翌月、日本インカレで村竹は13秒04のタイムを叩き出し、ついに泉谷の持つ日本記録に肩を並べた。そして翌年のパリ五輪は村竹と泉谷が2人揃って準決勝進出。村竹は準決勝を4着で通過し、日本勢初の五輪での決勝進出・5位入賞という快挙を成し遂げた。
日本人初の世界陸上メダリスト誕生となるか?
8月29日(日本時間)に行われた世界陸上の前哨戦・ダイヤモンドリーグファイナル決勝。初出場した村竹の走りに多くの期待が集まる中、14秒87のタイムで8位に終わった。結果に肩を落とした村上だったが、本命は世界陸上だ。
「12秒台を出してメダルを取ることが目標なので、ぜひ皆さん、見守っていてください」
同種目初の日本人メダリスト誕生はなるか。男子110mハードルの予選は15日、準決勝・決勝は16日に行われる。
東京2025世界陸上 男子110mハードル「この選手に注目!」
◆村竹ラシッド 12秒92(日本記録)
世界陸上 22年オレゴン 出場
五輪 24年パリ5位
◆泉谷駿介(25、住友電工)13秒04
世界陸上 19年ドーハ代表、22年オレゴン準決勝進出、23年ブダペスト5位
五輪 21年東京、24年パリ準決勝進出
◆野本周成(29、愛媛競技力本部)13秒20
世界陸上 25年東京初代表
◆グラント・ホロウェイ(27、アメリカ)12秒81
世界陸上 19年ドーハ、22年オレゴン、23年ブダペスト金
五輪 21年東京銀、24年パリ金
◆コーデル・ティンチ(25、アメリカ)12秒87
世界陸上 23年ブダペスト 準決勝進出
25年ダイヤモンドリーグファイナル 金