どんな理由で退職を?
新たなサービスのベースとなっているのが退職代行「モームリ」で蓄積されたデータだが、どのように活用されているのか?

まずは、「モームリ」の利用者。年代別に見ると20代・30代で8割を超え、中には15歳のアルバイトの高校生や、介護職に従事する83歳もいたという。
「年配の人でも、会社に恩があるからこそ辞めづらいという人がいる」(谷本社長)
また、退職の理由のデータで一番多いのは「会社と労働者のすれ違い」だ。
【モームリ利用者の退職原因】
▼2割⇒会社に非がある場合の退職
▼6割⇒会社と労働者のすれ違いによる退職
▼2割⇒利用者の個人都合による退職

『アルバトロス』谷本慎二社長(36):
「<会社に非がある><すれ違い>での退職が8割。ここは会社がうまくやってコミュニケーションがきちんと取れていれば、離職が防げた層」
【具体的な退職理由】
▼あるはずの退職金がなかった
▼テレワーク可のはずが週5出社を強要された
▼サービス残業が毎日30分あった
▼都内勤務のはずが地方に配属された
▼ベテラン社員ばかりで人間関係に苦労した
――就業時間や条件について、より権利意識も持っているし厳格になっているということなのか。
谷本社長:
「今は売り手市場で働く場所がたくさんあるので、おかしいと思うことがあれば『じゃあ違うところで働いた方がいい』と思う人も増えているのではないか。労働時間や条件などを主張する人も増えていると思うし、上記のような理由が一つでもあれば、それに付随して『やっぱり労務環境が良くないのかな』と転職を考える人は増えるのではないか。1個あれば他にもあるだろうと」
実際に利用者の退職理由を見ても、1つ「ブラックだな」と思う理由があると、それ以外にもたくさん記載されている事例があるという。
「モームリ」で辞めた人多い企業
そして、「辞められる側の企業」にも特徴があるとのこと。
【モームリで辞めた人が多い企業】(8月1日時点)
※すべて従業員1000名以上の大企業
〔1〕人材派遣会社A社:155回
〔2〕コンビニエンスストア:88回
〔3〕人材派遣会社B社:87回
〔4〕人材派遣会社C社:79回
〔5〕運送会社:66回
〔6〕食品製造会社:61回

『アルバトロス』谷本慎二社長(36):
「派遣会社の場合は、やはり派遣先で辞められると単純に売上げが下がってしまう。だから引き止めてしまうということで、辞めづらい⇒退職代行に依頼というのもあるかと思う。コンビニはフランチャイズ店で勤務する人からの依頼がほとんど。オーナーがちょっとクセのある人だったり、労務環境が良くないといったものが散見される」
ちなみに、谷本社長の会社でも退職代行を使って辞めた人がいるという。
谷本社長:
「退職代行を4回使われたことがある。ほとんどが早期退職で、『スピードが速くて追いつけなかった』という人もいて、やはりショックだった。退職代行事業をやっている当社としては、▼即日退職OK、▼言いづらい場合は同僚に言っても退職OKと入社時に伝えている。それでも退職代行を使われてしまったということで、考えさせられるものはあった」
――反省して、会社の雰囲気や制度などを何か変えていこうと。
谷本社長:
「辞めた人に矛先を向けるのは間違っていると思っていて、そこから何か改善していこうと。例えば福利厚生でもっとこういったものがあれば良いのではとか、もっとコミュニケーションをしっかりとればよかったんじゃないかなどと考えるようにしている」