本人の代わりに退職を会社に伝えるサービス「モームリ」では、退職者のデータを活用した“企業向け”のビジネスも始めた。自身も離職経験があるという谷本慎二社長(36)の狙いとは?
9割の企業が「優しく対応してくれる」

東京・品川区にある退職代行サービス「モームリ」を運営する『アルバトロス』のオフィス。ヘッドセットをつけパソコンに向かうスタッフ達から聞こえてきたのは…
「突然のご連絡失礼いたします。私、退職代行モームリの岡部と申します。御社にて勤務されている✕✕様の退職の件で、この度ご連絡いたしました」
依頼者に代わって企業の担当者に退職の意思を伝え、残っている有給休暇の日数や貸与物の返却、退職に必要な書類などを確認。
多いときには1日に「1人で10社以上」電話をかけることもあるという。

『アルバトロス』退職支援事業部・副主任 岡部沙央里さん:
「9割の会社は本当にイメージと違って、優しく丁寧に対応してくれる。『ついに来ましたか』と話す人もいます(笑)」
依頼最多は「4月最初の月曜日」
退職代行の依頼はLINEやメールで24時間受け付けている。
例えば、<営業はもう無理との意思を伝えたが、対策を取って貰えなかった><上司が高圧的で退職の意思を伝えるのが怖い>などというものも。

『アルバトロス』秘書広報部・主任 浜田優花さん:
「お盆明けは1日で190件依頼があった。過去最高は1日267件で、今年4月の最初の月曜日。4月は特に新卒の人がプラスで依頼がある。おそらく4月1日に入社して土日を挟んで行きたくないと」
どんな依頼理由であっても、2万2000円(アルバイトは1万2000円)で退職代行を請け負い、これまでの退職成功率は100%とのこと。

この「モームリ」を2022年に立ち上げたのが谷本慎二社長(36)だ。
東京・渋谷などの繁華街に宣伝トラックを走らせるなど知名度を高める戦略があたり、累計利用者数は4万人を突破した。

『アルバトロス』谷本慎二社長:
「最近は退職代行を知らない人がいないくらいになっているので、ビジネスとしてはありがたいが、やるべきことを頑張ってやろうとしているけど“うまくかみ合わない会社”が非常に多いので何とかしたいと思った」
そこで、2024年12月から新たに開始したのが“企業側に立った”サービスだ。