進まない再生可能エネルギー 環境負荷やコストの問題が

日本も温室効果ガス削減に取り組んでいるものの、発電量における化石燃料の割合は68.6%(資源エネルギー庁2023年度)と、依然として高い水準。
この状況に国が力を入れているのが、再生可能エネルギーの促進。国の計画では太陽光発電の割合を、23年度の約1割から、40年度には最大3割に増やすとしています。
【第7エネルギー基本計画(2月)】
太陽光発電(見通し)
・23年度…9.8%
・40年度…23~29%程度
ところが、懸念される出来事も。

北海道の釧路湿原周辺に、約6600枚の太陽光パネルを設置する「メガソーラー」建設計画。

しかし、近くには国の特別天然記念物のタンチョウなどが生息。また事業者が建設予定地の一部の許可申請を行っておらず、北海道は工事の一部中止を勧告しました。
この問題に、専門家は...

自然エネルギー財団 石田雅也研究局長
「再エネの発電設備を増やしていくためには、当然、その環境負荷を抑えることは大前提。自然環境を保護しなければいけない。そういったところは規制区域という形にして、設置できる場所としてはいけない場所をきちんと分けましょうと。国として、そこは早急に進める必要がある」
こうした太陽光のケースだけでなく、風力発電も前途多難。国の計画では、風力発電の割合を、23年度の約1%から、40年度には最大8%にまで増やすとされています。
【第7エネルギー基本計画(2月)】
風力発電(見通し)
・23年度…1.1%
・40年度…4~8%程度

そこで国が強く期待していたのが、秋田県沖と千葉県沖に計画された洋上風力発電。2021年に、三菱商事などの企業連合が事業を受注していたのですが...

三菱商事 中西勝也社長
「残念ながら開発継続は困難という、判断をせざるを得なかった」
コストが膨らんだことで、三菱商事などが撤退を発表。建設資材や人件費高騰などから、決算(2024年4月〜12月期)では約500億円の損失を計上しており、今後も採算が取れないとの判断からでした。
期待された洋上風力の頓挫に、武藤容治経済産業大臣は...

武藤容治 経産大臣(8月29日)
「洋上風力というものは、まさに再エネの主力電源化に向けた重要な電源。それを途中で放棄する責任というのは極めて大きい」
一方で専門家は、これまで国が風力発電などの再エネ事業への支援を十分行っていないことにも責任があるといいます。