食品などの値上げが続いています。スタジオでは、本当に日本が貧しい国になったのか?「エンゲル係数」に注目して考えてみました。
日本人は貧しくなったのか?エンゲル係数をとことん調査
井上貴博キャスター:
そもそも、エンゲル係数とはなんなのでしょうか。

世帯の収入から、消費支出、社会保険料などの税金、貯蓄・投資など、様々な支出がありますが、そのうちの消費支出を分母にとって、分子を食料費とします。つまり、消費支出に占める食費の割合がどのくらいかを示すのが、エンゲル係数です。
ドイツの学者・エンゲルさんが発表したので、エンゲル係数と言われ、これが発表されたのは1800年代で、結構前に出てきた指標です。
エンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)が高ければ高いほど、食費を賄うのでいっぱいいっぱいで、貧しくなっているのではないかという指標になっています。日本はこの数字が高いということで、ニュースで取り上げられています。

日本のエンゲル係数は、戦後は大体60%ぐらいありました。入ってきたお金のほとんどを食費に充てなくてはいけませんでしたが、どんどん低くなり、最も低くなったのは2000年代の約23%でした。そこから右肩上がりになっていて、今は28.3%となりました。(※総務省「家計調査」より 2人以上の世帯)
アメリカでも20%を切りますし、エンゲル係数が上がり続けている主要国は珍しいということです。ですから、日本はこれをもって貧しくなっているのではないか、余裕がないのではないかと言われるひとつの所以です。

第一生命経済研究所シニアエグゼクティブエコノミスト新家義貴氏は「食料品の価格高騰が影響している。食料品は節約することが難しく、エンゲル係数が高くなっているのではないか」と話します。
円安で輸入されるものが高い、食料品が高いのでエンゲル係数が高くなる。一方で、入ってきたお金を将来不安だから貯蓄に回そうという方もいらっしゃると思います。となると、エンゲル係数は消費支出を分母にとっていましたが、貯蓄を考慮した方が良いのではないかという仮説をスタッフと立てました。
そこで、貯蓄額はどのくらい推移しているのか調べてみました。