裁判所は「尋問」の日程調整行おうとしていた…直後に国は“認諾”

ーー去年の12月の認諾の際も雅子さんは非常に立腹されていましたね?
「認諾の直前に裁判所は『尋問をどうするか』という話をしていたんですね。その時やはり赤木さんも我々代理人も裁判所は話を聞く姿勢なんだというふうなことは非常に肯定的に受け止めていたんです。ところがその直後にすぐ認諾をされてしまったので、やはり『尋問』を避けるという目的が残念ながら国側にあったんじゃないかというふうに考えざるを得ないですね」
国を相手取った裁判で『認諾』は非常に珍しい
ーーこういう裁判の時に認諾はよくある話なんですか?「ほとんどありません。日本の民事訴訟の歴史上、確か4件か5件程度しかありませんし、1億700万円もの金額を認諾した事件というのはありません」
ーー当時連日のように佐川氏が答弁拒否する様子をテレビでも報じられてましたが、あの時は生越先生はどのように感じていましたか?
「無力感ですかね。結局、民事訴訟が最後の手段だったんですが、その手段も少なくとも一審レベルでは封じられてしまいましたので、もし将来同じような事件が起きて、俊夫さんと同じような人が出てきた時におそらく今回と同じような結論になるでしょうから、『お金を払えばもう終わり』『当事者は何も話さない』『記録も存在しない』そういうことになるのかなと考えます。もちろん手続き自体は控訴する予定ですが、ある種の無力感を感じますね」

ーーそして改めて双方の主張、訴訟の争点です。赤木さん側の目的は『なぜ自分の夫が自殺に追い込まれなければならなかったのか』『誰の指示でどのような改ざんが行われたのか』の説明をしてほしいと。今回の裁判を振り返ってどう思われますか?
「そうですね。赤木ファイルが出てきたことで一部は明らかになったと思うんですが、近畿財務局に所属されていた俊夫さんの視点の問題なので理財局側からどんな指示が下りてきたのかはメールでは断片的にしかわからないんですね。残念ながらほとんど目的を達成することはできなかったと現時点ではなると思います」
再三『出せ』と言わないと書類を明らかにしない国の姿勢
ーー公文書の改ざんでいいますと我々国民も知っておきたいと感じる方は多いと思いますが、結局出されたものを全部その黒塗りでしたがその後はどのようになったんでしょうか?「最初の公務災害の認定理由に関して文書開示請求したんですが最初は真っ黒なやつを訴訟で出してきましたが、最終的には明らかになったんです。しかし、それも訴訟の中で『出せ出せ』と言ってやっと出してきた話ですからねですから一般の方が例えば何らかの問題を抱えてらっしゃって、行政に対して文書開示請求したときに真っ黒なものが返ってきたときにそこから訴訟してまで真相解明するかというとなかなか難しいと思いますので、やはり真っ黒で返したインパクトは雅子さんに対しても非常に大きかったと思います」