8月18日に発生し大阪市中央区のビル2棟が焼けた火災では、消火活動にあたっていた浪速消防署の森貴志さん(55)と長友光成さん(22)の2人が死亡しました。2人はビルの内部が一部崩落したことで逃げ場を失ったとみられています。
この火災から一夜明けた19日、殉職した2人の隊員を知る人や同職の消防職員、消防士を家族に持つ人などが取材に応じ、胸の内を語りました。
▼殉職した消防士(22)の同期の男性

22歳の職員が僕と同期生だったので 僕も同じ状況になっていたかもしれないし、その時のことを思ったら、まだ知識も経験も多くないので…そんな状況でそんなことになったときの心を思うと苦しいです。
彼は怒ったところとか見たことなくて、どんな話をしていても笑顔で話してくれる、やさしい同期でした。
僕は現場に配属されてから頻繁に会うことがなかったので、どんな仕事をこんな感じでしているという話も聞けていなかったので、それも悔しいところなんですけれど、僕が知っている、現場に出る前の消防学校の彼は、すごく前向きに訓練とかに取り組んでいるタイプでした。
ニュースを聞いたとき、同じ年なので「もしかしたら同期ちゃうか」と思って。そのときは息もしづらかったですし…「なんでそんなことになったんか」と、頭が回らなかったです。
僕も「殉職事案は起こしちゃダメやで」というのはよく言われていますが、身をもって体験するじゃないけど、初めてそういうことを厳格化しないといけないと思ったし
これから先、「絶対に誰も死なせへん」と僕らも同期とこういう思いを強く持った。それを全員が持てるようにやっていけたらいいなと思います。
(消防に)入って間もないので、現場の、こっちからこうしたほうがいいとか戦術的なことか詳しいことはまだまだですが、これだけ燃えていたら「助けなあかんな」「(人が)おったら助けなあかんな」という思いは強かったと思いますし、それで中に入っていって出てこられなくなったのは非常に悲しいです。
▼息子が大阪市消防局職員の男性

息子が大阪市消防局で。僕は違うんですけど、息子が大阪市消防局で。息子のところの救助隊がたまたま2人を発見して出したんです。
「かわいそう」しか言葉が無いです。
▼和歌山の消防職員

同じ職業なので来させていただきました。
同じ仕事をする中で、こういった凄惨な事故が起きたということで、自分もどうなるかわからないので気持ちを引き締めていかなければならないと思いました。
大阪特有の建物の建て方をされている所があるので、大変な現場だったかなと思います。
我々責任がある仕事をしているので、どこかでは覚悟をしている部分があるんですけど、心が苦しい部分があります。
気持ちそのもので、すぐに手を会わせてご冥福をお祈りするという事で来させてもらいました。
▼殉職した消防司令(55)の娘の友人

仕事の話はあんまり聞いてなかったが、人を助ける仕事とだけは聞いていて、かっこいい父親なんだなと思っていました。最後まで人を助けるために頑張ったんだなって…。
あんまり会う機会はありませんでしたが、優しそうな人で言葉の数は少なかった。最後に顔を合わせたのは小学生のとき、5年前ぐらいでした。
自分は鼻をかむことが苦手だったのですが、森さんの家に遊びに行った時、森さんが鼻のかみ方を一生懸命教えてくれたりとか。とても優しかったです。
▼殉職した隊員(22)の同期の女性

自分は小隊が違ったので深く関わりはなかったですが最後の訓練などでは一緒でした。消防学校生活最後を楽しんで終わりました。
とても優しくて…
消防学校同期のLINEグループがあって、それで知りました。亡くなると思っていませんでしたし、火災の恐ろしさを身に染みて感じました。
私のところは田舎で雑居ビルが少ないので、活動方針など、訓練していかなければいけないと隊長とも話しました。
同期のLINEグループではとにかくショックだと話しています。全体のグループでも主担の教官から言葉がありました。
同期が多いので全体で関わるのは難しかったですが、横の小隊だったので顔をよく見ていました。同じ訓練を同じタイミングでしていました。
献花の際には「最後までお疲れ様。これからは長友くんの分まで自分もたくさんの命を救うよ」と声をかけました。