アメリカのトランプ大統領はウクライナ・EU諸国などの首脳会談後、「プーチン氏とゼレンスキー氏による首脳会談の調整を始めた」と明らかにしました。事態は停戦に向かうのか、専門家にも聞いてみました。

トランプ大統領
「我々は永続的な平和を実現するだろう。すぐに実現することを祈っている。戦闘が長く続くことは望まない。和平が発表されれば、世界中が歓喜するだろう」

ゼレンスキー大統領との会談の冒頭、こう強調したトランプ大統領。この日はゼレンスキー氏のほか、EU諸国の首脳らとも会合を行いました。一連の会合後、トランプ氏は自身のSNSで、ロシアのプーチン大統領と電話会談した上で、こんなことを明らかにしました。

トランプ大統領(SNS)
「プーチン氏・ゼレンスキー氏による首脳会談の調整を始めた。2人の会談が行われた後、私自身を交えた3者での会談を行うつもりだ」

ウクライナ・ロシアの首脳会談に向け、調整を開始したことを明らかにしました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は…

ゼレンスキー大統領
「ロシア側から2者会談の提案があった。そのあとに3者会談だ。私たちはいかなる形式の会談も行う準備がある」

実際、和平実現の可能性はあるのでしょうか?専門家は…

朝日新聞国際報道部 元モスクワ支局長 駒木明義氏
「今のところなかなか見えない。残念ながらプーチン大統領は停戦をしたいと思っていない。むしろ戦争を続けたいと思っていて、そのために色々な条件づくりをしようとしている。つまり、ロシアの言い分をトランプ大統領にわからせようとする。制裁を避けようとする。そういうことを一貫してプーチン大統領は続けている」

厳しい見通しですが、2者会談についてドイツのメルツ首相は「今後2週間以内に行うことで合意した」と明らかにしています。

一方、ウクライナが求めてきた「安全の保証」について、トランプ氏は「ヨーロッパは最前線にいるが、我々も関与する」と明言。しかし同時に、ウクライナが求めてきた「まず停戦」については…

トランプ大統領
「戦闘を継続しながらでも和平合意を交渉することはできる」

トランプ氏は停戦ではなく交渉を優先する意向で、プーチン氏には有利な土壌が生まれています。

朝日新聞国際報道部 元モスクワ支局長 駒木明義氏
「(2者会談など)そういう話が進んでいる間は絶対にトランプ大統領は、また制裁とか言い出さない。ウクライナに対する攻撃を何も気にすることなく続けることができる。そのための時間稼ぎに結果的になってしまっているという状況です」

会談後、ゼレンスキー氏は「安全の保証」について、「今後1週間から10日以内に何らかの形で文書化される」と説明しています。

会談が行われた18日もウクライナでは、ロシア軍が攻撃を続け、攻勢を強めています。今後、停戦に向けて事態は変わっていくのでしょうか。