元になったのは ”日本で初めて戦争をテーマに出版された絵本”

「ちひろ美術館・東京」で開催中の、「絵本でつなぐ『へいわ』展」。すすだらけの顔で焼け跡を見つめる少年や、ひまわりのそばで頬杖をつく少女など、今回出版された絵本の挿絵が並んでいます。

来館者
「暖かさもありながらも悲しさもあるというところが、そこに生きていた子供たちであるとか、その人々とかの・・・私たちと変わらない日常があったはずであるということを改めて思い知らされたので、非常に胸がいっぱいになりました」
来館者
「なんか、お父さんとお母さんなくしちゃった子供たちも、もう孤独のままで生きてきたから、悲しかったんじゃないかなって、もうなんか生きていけないような辛さみたいなのがあったんじゃないかなって思います」

今回の絵本の元になったのは、1967年に出版された『わたしがちいさかったときに』。日本で初めて「戦争をテーマに作られた絵本※」と言われていて、原爆を体験した少年少女たちの手記に、いわさきちひろさんの挿絵が添えられています。
(※冊子としては、1950年刊行の丸木位里・赤松俊子による『ピカドン』<平和を守る会編 ポツダム書店刊>があります)

ちひろ美術館 松本猛常任顧問
「普段は割にこう、おしゃべりをしながらも平気で筆を進めることができる人だったんですけど、この絵を描いてる時は、ほとんど言葉が出なかった」

ちひろ美術館の顧問をつとめる、息子の松本猛さんは、高校生のころ、この本の制作に関わるかどうかを悩むちひろさんを見ていました。

ちひろさんは、「原爆の図」を描いた丸木位里・俊夫妻を師と仰いでいました。