恐竜映画に惹かれた少年時代とこれから

幼少期から映画の「裏側」に強い関心を持ち、映画『ジュラシック・パーク』(1993年)に衝撃を受けたという朝倉氏。VFX技術への情熱は今も変わらない。

「小学生の頃からずっと好きだったんです。現実には存在しない恐竜をCGで描いたあの映画が衝撃的で、今でもその思いは続いています」。

当時はまだVFXという言葉も一般的でなく、特殊効果といえばSFX、いわゆる「特撮」と呼ばれる時代。SFXとは、撮影現場で爆破や煙、特殊メイクなどを実際に施して非現実的な演出を行う手法のこと。SFXは、VFXと区別されることもあるが、両者は相互に補完し合い、映像表現の幅を広げるために用いられている。

CGを用いてより複雑な視覚効果を演出するVFXは、SFXと組み合わせることで、よりリアルで迫力のある映像を生み出す。例えば怪獣映画では、怪獣の着ぐるみやミニチュアをSFXで制作し、街の破壊シーンをVFXで合成するなど、両方の技術を活用するケースも多い。朝倉氏は、そんなアナログな時代から視覚効果に魅了され、進化する技術と共に歩んできた。

「自分が見ていた側から、作る側になれた。そのこと自体が一番のやりがいです。誰も見たことのない映像を、自分の手で作りたいという気持ちはずっと変わりません」。

VFXの技術は日進月歩。新たな表現方法が登場する度に、朝倉氏の想像力もかき立てられていく。「技術が進化する度に、『これでどんな映像ができるか』『どう表現できるか』を考えるのが楽しいんです。日々考えて試しながら、挑戦しています」。

その意味でも、本作のような作品は挑戦のしがいがあるという。

「作品によっては、背景だけの静かなVFXもありますが、本作は異能力をどう見せるかというテーマがある。だからこそ、より自由でダイナミックな表現にチャレンジできる。本当にありがたい機会だと思っています」。

本作では、物語の終盤に向けて、さらに異能力の表現が多様化していく予定だという。異能力の表現と映像の融合に、どこまで挑めるか。朝倉氏の映像制作への挑戦は続く。

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』より