「楽しんだり、喜んだりすると申し訳ない」
あれから約80年。空襲の記憶は、野田さんのその後の人生にも大きな影響を与えました。「自分が楽しんだり、喜んだりすると、亡くなった方々に申し訳ないっていう気持ちで。罪悪感を感じてしまう」。長い間、あの悲劇のことは忘れた方がいいのではないか、そう思って生きてきた野田さん。しかし10年ほど前、遺族会の活動を知り、考えが変わったといいます。

「平和がどんな尊いかということを、子供たちにも伝えていかなければならない。私も気持ち切り替えて、身近にこういうことがあったことを話していこうと誓った」。テレビで世界の紛争の映像が繰り返し流れるたびに胸が痛むと語る野田さん。二度とあのような思いを誰にもしてほしくない。その強い願いが、野田さんを突き動かしています。