愛知県立芸術大学で2年がかりの修復
被爆した人たちの思いにも寄り添い、丸木夫妻は30年以上かけて「原爆の図」全15作品を完成させました。
戦後80年を迎えた今年、その内のある作品の修復が、愛知県長久手市の愛知県立芸術大学 文化財保存修復研究所で行われていました。炎に焼かれる人々を描いた「火」です。

汚れを吸い取り紙でとりのぞき、くすんでいた炎の赤色は元に近い状態になりました。傷んだ部分には裏から和紙をあてるなど修復作業は2年がかり。絵の端にあった15センチほどの傷には上から紙が貼ってありましたが、約30年ぶりにはがされました。

「作品をつなげていける中の1人になれた」
修復を終えた絵を、新しい屏風の下地に貼っていきます。
(研究員ら)
「大丈夫ですか」
「ぴったりぐらい。端」
「端はちょうどぴったりです」


(修復を担当した磯谷明子研究員)
「本当に大切にされないのであれば、とっくに存在しなかったであろうし、あるいはもっと傷だらけになっていたと思う。大事にされてきている作品をつなげていける中の1人になれたのは、ありがたく思う」
