「客観的証拠」の壁

原爆の炸裂で拡散した放射性微粒子。国は、その影響について「被爆地域の外には及んでいない」としています。しかし多くの人が被爆地域の外でも雨や灰が降り、下痢や脱毛、白血病などを発症したと訴えてきました。

去年の長崎原爆の日、岩永さんは当時の岸田総理大臣に放射性微粒子がもたらした「内部被ばく」に向き合って欲しいと訴えました。

岩永千代子さん「内部被ばくがいかに人体を蝕むか研究を深めて欲しいのです」

支援者・平野伸人さん「総理、被爆体験者は被爆者じゃないんですか?岩永さんの声が聞こえないんですか?」

結果、昨年12月から被爆体験者に被爆者と同等の医療費が助成されるようになりました。

(封書で届いた「第二種健康診断特例区域 医療受給者証」)

被爆体験者・濵田武男さん「本物じゃない。にせの手帳がきた」

「被爆者」ではなく「体験者」のまま。放射線の影響は認められていません。

被爆体験者・濵田武男さん「これ日本じゃろかね?日本から仕掛けたような戦争、それでこういう風になってるんだから責任ある。日本政府は」

実質、国を相手にしている裁判で長崎地裁は昨年9月、被爆体験者の原告44人のうち15人を被爆者と認める判決を言い渡しました。

大石長崎県知事・鈴木長崎市長「しっかり頑張らせていただきます」
岩永千代子さん「理由が分からず、たくさんの人が亡くなっております…」

被告の長崎県、長崎市は「国の意向に背けない」として控訴しました。最初の提訴からもう18年です。

被爆体験者・松田宗吾さん(91)「解決を聞いてから逝きたい」

支援者・平野伸人さん「玉砕しましょうよって言う気持ちで運動した方がいいんじゃないかって。市役所の前に座り込むとかね。1時間でもいいですよ」
岩永千代子さん「それはできません」
平野さん「みんなからバカにされてるんだよ。皆さんのことなんか、誰も考えてないですよ、誰も考えてない。悔しいじゃないですか」
被爆体験者「悔しいよ…」