■停戦和平の具体的な条件に初めて言及

ホランキャスター:
他にこの会見の中で気になった発言などはありましたでしょうか。

畔蒜氏:
今回、プーチン大統領が初めて停戦和平の具体的な条件に言及しました。
▼クリミアがロシアの領土であるということをまず承認すると。それから、▼キエフ側が「ドネツク」「ルガンスク」が独立国であることを承認すると。かねてから言われていたことではあるのですが、プーチン大統領自身がこれが停戦和平の条件だと発言したのは初めてです。この点は注目に値すると思います。

井上キャスター:
プーチン大統領としては、これまでと変わらず「欧米アメリカが敵だ」とする中で情報戦も続いています。
イギリス・タイムズ紙は、「プーチン大統領がロシア政府の諜報機関FSB=連邦保安局の職員約150人を追放した」と報じています。追放の理由としてイギリス側は、「侵攻前のウクライナの状況について間違った情報を報告した」といった理由があるのではないかと報道しています。

ホランキャスター:
イギリスの報道ということですが、この背景にはどのようなことが考えられるのでしょうか。

畔蒜氏:
ロシア側も、今回の軍事作戦の第1フェーズは“うまくいっていない”ということを、事実上認めているということだと思います。ある種、新しい司令官が任命されたということが、それを物語っています。そう考えると、かねてから言われていたFSB=連邦保安局の情報が正しくなく、プーチン大統領はかなり楽観的な軍事作戦を作ってしまったのではないかという話がありましたが、そういう仮説と今回の情報はある意味、符号するということですし、一定の信憑性もあるのではないかと思います。

井上キャスター:
うまくいっているか、いっていないかは分かりませんが、いずれにしても停戦は遠のいていませんか。

畔蒜氏:
プーチン大統領が出した条件を実際にクリアするというのは、相当ハードルが高いということですので、事実上まだ、先は見えてないということだと思います。