スピード感重視の合意で日本に損は
日比キャスター:
これまでのズレを見ると、あやふやな条件があまりに多く、日本が損していないか不安になります。
TBS報道局経済部 竹岡 記者:
スピード感を取った一方、曖昧なところがたくさんあります。もしかすると、トランプ大統領が「日本はアメリカと約束したことを実行していない」と主張して、また関税を引き上げる可能性もあります。火種というのは常に残っている状態です。
南波雅俊キャスター:
アメリカは日本に限らず、世界各国に対して「関税」というカードで、交渉を有利に進めてきました。今はまとまっていても、今後、新たな交渉になる可能性もあるのでしょうか。
TBS報道局経済部 竹岡 記者:
ベッセント財務長官は「3か月に1回、合意の実施状況をチェックして、トランプ大統領が不満ならば関税率を元に戻す」という“脅し”のようなことも言っています。いったん合意したので一件落着、とはいかない見通しです。
日比キャスター:
今のところ日本のメリットはどこなのでしょうか。
TBS報道局経済部 竹岡 記者:
自動車関税が15%に下がったことは、政府内でも評価されています。自動車メーカーからも、「いまは円安なので15%でも苦しいが、25%よりかはマシ」という声が聞こえてきています。
また、合意文書がないメリットとして、ある経済官庁の幹部は「トランプ政権の任期終了後に合意文書がないと、うやむやにできる」と話しています。
文章があれば、国家間の約束なのでトランプ政権終了後も高い関税率が続きます。しかし、あいまいにさせておくことで、「あくまでトランプ政権ときの話。関税をもう1回見直してください」と言うことができます。
合意文書がなくても、交渉の余地を残すことで、日本が逆手に取ってうまく進められる可能性もあります。
日比キャスター:
この影響を受けているのは、特に中小企業の皆さんだと思います。一刻も早く安心できる交渉を進めて欲しいですね。
TBS報道局経済部 竹岡 記者:
赤沢経済再生担当大臣も、「今すぐにでも自動車関税を下げてほしい」とアメリカに強く要望してるようなので、一刻も早く下がることが一番だと思います。
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<プロフィール>
竹岡建介 記者
TBS報道局経済部
不動産業界や経済官庁を取材














