株と比較「リスク&リターン」

では、株の投資とはどのような違いがあるのか?

1993年末を「100」とし、金とS&P500の【価格推移を比較】すると、2015年頃までは両方とも大きな上昇・下落はなく、価格の開きも大きくないがー
▼金:2020年すぎからじりじり上昇し、2025年で「1000」少し手前に
▼S&P500:2015年頃から急激に上昇し、2019年頃「1000超え」、2024年「3000超」

ニッセイ基礎研究所 井出真吾さん:
「金はここ最近の値上がりが顕著だけど、やはり株の方が大きく上がっている」

また、1994年から10年ごとに【リスクとリターン】を分析してみると

▼【1994年~2003年】リスク・リターンともにS&P500の方が高い。特にリターンは、「金:0.8%」に対し「S&P500:10.6%」
▼【リーマンショックを含む2004年~2013年】リスクはS&P500の方が若干高いが、リターンは「金:10.0%」「S&P500:7.2%」と逆転
▼【直近10年 2014年~】金が値上がりしている直近でも、リスク・リターンともにS&P500の方が高い
▼【全期間】リスクもリターンも、S&P500の方が少し高い

井出さん:
「リーマンショックがあり、株が戻るのに5年半ぐらいかかった。例外的に金の方がリターンが高くなった時期もあるが、“長い目で見るとリスク・リターンともに株の方が高い”

金は株価下落時の「緩衝材」に

さらに細かく月次で、S&P500と金の騰落率を出すと“ある傾向”が見えてくるという。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾さん:
「株が上昇した月は金も上昇しやすい。一方株が下がった時は、金は上がることもあれば下がることもあり大体半々ぐらい。株が上がる時は一緒に上がりやすいが、株が下がった時は必ず下がりやすいとも言えない傾向がある。ということは、【株が急落するような有事には、金が下支えになる】ということ。これは機関投資家の間でも大体認識は一致している」

井出さんによると、毎年決算し結果を発表しなければいけない機関投資家は、大儲けはできないがいざという時のためにリターンを安定させる「ショックアブソーバー」として、金を保有することがあるとのこと。