「チームが"岡田阪神"から"藤川阪神"に変わった」

 なぜ、阪神は今シーズンここまで強いのか?という問いに、掛布さんは、「投・打・守、全てのバランスが他球団よりいい」という点をポイントに挙げました。投手陣が点を取られない(防御率1.95)、守備が良い(失策38 セ・リーグ2位)、ケガ人がおらず、1番から5番を固定できているということです。

 (掛布雅之さん)「今、ファンも含めてお祭り騒ぎですよね。その中で、いい意味で“冷めて”自分たちの野球を俯瞰して見られるような選手が1人いた方がいいんですよ。その役割が大山悠輔選手。ヒットやホームランを打っても、変なガッツポーズしませんよ。いい意味で冷めて野球をやっている。あとは、キャッチャーの坂本誠志郎選手がすごく落ち着いて、いい形でピッチャーをリードしている。静かですよ。“静”の大山選手と坂本選手の存在があるから、優勝は間違いないと見ています」

 掛布さんはまた、「チームが"岡田阪神"から"藤川阪神"に変わった気がする」と話します。

 (掛布雅之さん)「印象的だったのは、7月3日の巨人戦。9回裏・2対2で同点の場面で、巨人は絶対的守護神であるライデル・マルティネス投手が投げていて、森下翔太選手が出塁しました。そこで、代走はないと思ったんですよ。巨人はマルティネス投手というカードを切っているので、延長戦に持っていけば阪神が有利ですから。なのに、藤川球児監督は森下選手の代走に植田海選手を出して、マルティネス投手にプレッシャーをかけて負けをつけるわけですよ。絶対巨人に年間で勝ち越すんだ、勝ち切るんだという強い気持ちですよね。岡田彰布・前監督であれば、9回で勝負をつけにいきません。12回を考えて、もう1回森下選手に打順が回ってきますから。その中で勝ちを取っていくという、安全策を取ると思うんですよ。この藤川監督の9回で決めにいった強さ。これは、100%です」