自分が決めた「YES」が言えるようになるために…
フランスの教育省は、学校に行く理由について「聡明で自由を得た市民になるため」と謳っていると言います。
この「聡明」とは、自分で情報収集し、自分で考えることができて、自分で議論に参加することができることを指します。
情報や周囲に流されずに考えることができて初めて、自由に決めることができる。
市民として自分はどういう行動を取ることができるかをイメージすることができるというわけで、そのためには幼い時から、自分でしっかり考えられるようにすることが、すごく大事というわけです。
そんなことも含めて、この絵本の“肝”とも言うべき部分を紹介します。

こわくてもNOって言えたら、
自分を守ることができるし、
まわりの人に大切にしてもらうことができる。
そうやって私たちは大きくなるんだ!
NOと言えるようになったとき、
自分が決めた
YESが言えるようになるよ。
この一節について、安發さんはこんな風に語っています。
(安發明子さん)
「『NO』って言えないと、強制された『はい』が沢山になってしまって、ホントは自分が何をしたかったか?わからなくなってしまうんですね。
なので、まず『NO』って言えること。
そうすることで初めて、私にとって本当は何がYESがなのか?が考えられるようになるということが、非常に大事なメッセージだという風に思っています」
安發さんは小学生時代、親の仕事の都合でスイスに暮らしましたが、10代から20代のほとんどは、日本で生活しました。
社会に出た後は首都圏で生活保護ワーカーとして働きましたが、29歳でフランスに渡って、研究者となりました。
フランスの福祉や社会保障は、最も先進的な北欧諸国と、日本の中間ぐらいということで、日本をより良くするために、学ぶ部分が多くあると考えています。
(安發明子さん)
「日本とフランスで比べると、日本って人口2倍いるんです。でも生まれてくる赤ちゃんの数は一緒なんですよ。なので、すごく日本は子どもがマイノリティ。
日本でも高齢者分野だったり障害者分野は、当事者だったりその家族が運動して発展させてきたわけなんですけど、子ども分野に関しては、当事者運動って期待するのはおかしいことじゃないですか。
だからこそ、おとな達がこういった社会でありたいといったことをですね。団結しなければ」
そうした意味で、安發さんはフランス在住の日本人研究者として、日本社会向けの発信を続けていきたいということです。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:松崎まこと(放送作家/映画活動家))