プーチン大統領は3月16日、政権幹部を前にした演説で、「第五列」の人間を排除すると語った。「第五列」とは自国にいながら敵の見方をするもの、即ち裏切者を意味する言葉で、ソ連時代にスターリンが行った大粛清を彷彿とさせるものだ。なぜ今、そうした言葉を使ったのか…。そこにはプーチン大統領の危機感も垣間見える。
■中露外相会談ロシアの生き残りを模索か
30日午後、中国の安徽省でロシアのラブロフ外相と中国の王毅外相が会談した。会談後、ロシア外務省は、ラブロフ外相と王毅外相が会談で戦略的パートナー関係の強化を続けていくことで一致したと発表した。沈黙を続けてきた中国は今、なぜ、外相会談に臨んだのだろうか。
拓殖大学海外事情研究所 名越健郎 教授
「中国にすれば、ロシアは国際社会で孤立しているから放置しても中国についてくると。そう冷淡に観ているところがある。一方で、プーチン政権が倒れることを恐れている。その場合、中国の北に親欧米政権が出来る、これは中国にとって悪夢だ」
森本敏 元防衛大臣
「プーチン大統領の生き残りではなく、ロシアの生き残りを、ラブロフ外相が自分の職をかけて中国を誘いかけた。仲間を作ってくれと。うっかりしたことをやると自分も危なくなりますから、そういう意味では中国をそそのかして、しかもこれは、王毅を狙ってであって習近平ではないというところに大きなカギがある。習近平氏はこんな考え方は持っていないと思う。習近平はもっと冷淡だと思う」