“ネット選挙”元年は実は去年!?

 「参議院」というキーワードを含むYouTube動画の再生回数が急激に増加しています。6月13日~7月2日(公示日前日)は約5.6億回だったのに対して、7月3日(公示日)~7月13日のわずか10日間で約11.2億回再生(選挙ドットコム調べ)。関心の高まりがうかがえるとともに、YouTubeから選挙の情報を仕入れている人が大勢いることがわかります。

 インターネットの選挙運動が解禁されたのは2013年ですが、当時は今ほどスマートフォンが普及しておらず、テレビとインターネットの利用率がきっ抗状態になったのが2019年。2020年の東京都知事選のときには、SNSで小池百合子知事への批判が多くありましたが選挙結果は小池知事の圧勝で、まだネット上の動きと結果が必ずしも結びついていなかったことがわかります。しかし去年の兵庫県知事選や東京都知事選などでは、ネットの盛り上がりと選挙結果が連動するようになりました。

 数年でここまで大きく変化した背景には、コロナ禍でインターネットに触れる時間がより長くなり、従来のテレビのようにネット動画を視聴するようになったこと、そしてネット自体が「若い人たちが使うツール」から「幅広い世代が使うツール」に変化したことが挙げられます。
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 最近の選挙でのとある出口調査によりますと、「最も参考にした情報」として、インターネットがテレビや新聞を上回り1位だというデータも。その一方で、山口准教授らの調査によると、SNS情報を「信用している」と回答したのは20.5%、「信用していない」は67.8%で、テレビや新聞よりも「信用している」と回答した人の割合が少なかったということです。

 【偽・誤情報、ファクトチェック、教育啓発に関する調査研究 2024年】(国際大学・山口真一准教授らの研究)
 ▼家族などとの直接会話
 信用している:58.8% 信用していない:28.8%
 ▼テレビ・新聞
 信用している:61.5% 信用していない:30.5%
 ▼SNS
 信用している:20.5% 信用していない:67.8%
 ▼動画共有サービス
 信用している:22.4% 信用していない:65.3%

 こうした調査結果から、ネット上の選挙情報を「信頼はしていない」が「最も参考にしている」人が多いということが言えそうです。