朝起きたらシーツが血だらけに 食べるものも限られる

「これが子どもの頃の僕です。」
マーシーさんが見せてくれた1枚の写真。手も足も、肌が見えないくらい包帯が巻かれている痛々しい姿。病との壮絶な闘いを物語っている。
マーシーさんを苦しめていたのは「アトピー性皮膚炎」。食べるものも限られ、かゆくて掻きむしった体は血だらけに。朝起きると、いつもシーツが真っ赤に染まっていたという。
マーシーさん
「5歳の頃が一番ひどかったですね。食物アレルギーもひどくて、食べられるものが、ウサギとカンガルーと鹿の肉のみといった状態。本当に辛かったです。治療が終わって病院を出ると、周りからすごい目で見られて…食べられるものがない以上に、周りの視線が怖かったです」
母・知佐さんも当時を振り返り、息子を思って“もどかしかった”気持ちを語ってくれた。
母・吉村知佐さん
「卵、牛乳、エビ、カニ、日本そば、もう食べられないものばかりで、可哀そうな思いをさせて…。夜中もずっと『かゆい、かゆい』と泣いていた記憶しかないんですよ。本人が一番苦しかったと思うんですけど…」
知佐さんによると、保育園の年長組=5歳のときに1か月半、入院したことも。また一度、誤って卵の入った食べ物を口にしてしまい、アナフィラキシーを発症して病院に駆け込んだこともあった。そのため中学生になるまでは、もしもの時のために常に薬を持ち歩いていた。
その「アトピー」が重くのしかかり、少年時代はすっかり自信を失ってしまい、好きだった絵を描くことすらなかったマーシーさん。転機が訪れたのは、19歳のときだった。