文科省”学生支援制度SPRING”を日本人に限定へ 日本人学生からも抗議の声

参院選公示の前日、排外主義が広がっていると抗議する大学生たちがいた。
大学生たちの抗議
「国籍関係ない」「みんなの『SPRING』」
抗議していたのは、文部科学省のプログラム通称「SPRING(スプリング)」の見直しだ。
「SPRING」(次世代研究者挑戦的研究プログラム)とは、博士課程の学生を支援する制度。
成績などを大学が審査し、優秀な学生には研究費や生活費(上限240万円)として、年間最大290万円が支給される。最大4年間支援を受ければ約1000万円程度になる。
この制度をめぐっては今年3月、自民党の国会議員が受給する外国人留学生の数を問題視した。
これに文科省の幹部は…
文科省 先﨑卓歩 科学技術・学術総括官(参院・外交防衛委員会)
「SPRING事業の実績ですが、(受給者)全体1万564人、日本の方が6439人、外国の方が4125人いて、うち中国の方が2904人」

そして文科省は6月、生活費にあてられる上限240万円の支給対象を、日本人限定にする方針を示した。
文科省
「博士課程を含めた人材支援の見直しを行う中で、日本人学生を支援するという制度の趣旨を踏まえ、生活費については日本人に限定する方針としました」
SNSには今も「中国人留学生には1000万円」「外国人優遇」といった意見が投稿されている。
今回の参院選でも、「外国人優遇」だと声を上げる候補者がいる。
4議席を争う神奈川選挙区。
現職と新人の計16人が立候補しているが、その中の一人、参政党の初鹿野裕樹氏は、SPRING制度について、こう主張している。
参政党 初鹿野裕樹氏のXより
「外国人の留学生には1人1000万円、お金がもらえる。日本の学生さんどうなのかと。進学を諦めて就職する子もいる。行き過ぎた移民政策に反対。外国人優遇から日本人ファーストへ」
抗議活動の輪の中に、中国人留学生の姿があった。
2024年度の受給者の6割は日本人で「外国人が優遇されているわけではない」と訴える。

中国人留学生
「私の周りにも生活に苦しんでる、バイトしながら大学院に通って、両立を頑張ってる留学生の友達がいる。(生活費支給を)日本国籍だけに限定することになれば、生活はもっと苦しくなる」
男性は2019年に中国から来日。
賃貸のひと部屋を、日本人の学生とシェアして暮らしている。家電のほとんどは、引っ越した友人からタダで譲り受けたものだ。

日下部正樹キャスター
「友達と住んでるの?」
中国人留学生
「そうです。ベッドと床で寝ている。気分次第で入れ替わったりしている」
男性は、東京大学大学院の博士課程で心理学の研究をしている。
SPRING制度で採用され、生活費として月18万円を支給されているが、専門書など研究に必要なものも多く、生活はギリギリだという。
日下部キャスター
「確認だけど、これは別に留学生だからもらえるお金じゃないわけでしょ?」
中国人留学生
「国籍を問わず、みんな同じ審査を受ける」
6年前に来日した男性は、最近になって外国人差別が急速に広がっていると感じている。

中国人留学生
「(参院選の)掲示板の隣を歩くと『日本人ファースト』とか『外国人問題、俺が解決する』というような言葉の書かれたポスターを目にしたときに、そういう排外主義的なものが目の前に現れてると実感して恐怖感がすごく…
例えば、電車の中で友達と母語で喋ることを恐れたり、スマホで中国語の記事を読むことを避けるように心がけたり」
「国籍を問わず、安心して学べる未来を」。抗議活動を呼びかけたのは、日本人の学生たちだ。

日本人学生
「高等教育の場で必死に抵抗する人々を踏みにじり、分断を生じさせようと振り回す政府と行政の姿勢に強く怒りを覚えてます。研究は仲間がいなくては始まりません」
様々な背景を持つ学生が共に研究することによって、日本の学術の発展にも繋がると訴えている。
日本人学生
「普段一緒に学んだり研究してる中で一番感じるのは、留学生だとか日本人だとか何人だとかってあまり意識しない。日本人じゃないというだけで、なんで急に政府から線を引かれるんだろう」
日本人学生
「『日本人ファースト』を掲げたところで、日本は良くならない。外国人を差別することで、日本は絶対に良くならないので、日本人の側からも声を上げていくことが非常に重要だと思います」