東京世界陸上で日本史上初のメダルへ大きな手応え
レースは最終種目のひとつ前、現地よる9時30分頃のスタート。この4年、五輪・世界陸上ともに負けなしのエルバカリ(29、モロッコ)がハイペースを刻むと、三浦は最後方の位置に待機。苦しくなった選手たちが先頭集団から徐々に遅れ始めると、三浦は頃合いを見計らったかのように、障害を越えていくたびに順位をひとつずつ上げていった。
そして最後の一周を告げる鐘が鳴ると、6位付近から一気に2位に飛び出し先頭のエルバカリを追う。残り300m付近でエルバカリのペースが極端に落ちたところで、三浦が猛スパート。水濠を越えるとエルバカリを捕えついにトップに。最後の障害を越えたところでエルバカリがラストスパートで意地を見せ、三浦はあと少しのところで逆転を許し優勝を逃した。
だがパリ五輪銀メダリスト、銅メダリストを破り、絶対王者までも追いつめてみせた。世界トップ選手しか招待されないこの舞台で、世界一を掴みかけたことはとてつもない偉業だ。そして、掲示板に示されたタイムは、自身の持つ日本記録を6秒以上更新する8分03秒43。パリ五輪金のタイムより約3秒も早い“特大”の日本新記録で堂々の2位。
いつもは淡々と感想を話す三浦も「今までで一番手応えがあって、ものすごく嬉しい」と笑顔で答えた。序盤、最後方に控えたのは狙い通りだったようで「日本記録を目指していたが、レース展開など未知数なところがある中でしっかりと戦略的にレースを進めることができた。ラストスパートでは負けてしまったが、エルバカリと並ぶことができて大きな手応えを得た」と会心のレースとなったようだ。約2か月後に迫る世界陸上に向け「もうメダルかなと思っているので、今日は弾みになるレースだった」と力強く話した。9月の東京、7周半の戦いは日本の歴史に残る一戦となる。