船大工も消滅寸前「川に行っても獲れん お手上げ」
翌日、平工さんは93歳の船大工、那須清一さんのもとを訪れました。

長良川漁師 平工顕太郎さん
「ご報告したいことがあって。(新聞を見せながら)昨日、1キロで3万2400円の値をつけました。最高値とれたのは ちょっとホッとしている」
木材でできた船は軽くて使いやすく、アユ漁には欠かせないという平工さん。
しかし、そんな船を作れる船大工も今や消滅寸前です。

船大工 那須清一さん
「魚獲っても売れんし、川に行っても獲れん。もうお手上げ」

長良川の天然遡上のアユは1年きりの生涯を、川と海で暮らします。産卵は秋。河口から40~50キロ、小石や砂のある川底です。
孵化した赤ちゃんは、流れに乗って海へ。沿岸部でプランクトンを食べながら冬を越して春になると川を上ります。
夏は苔の生えるお気に入りの石をめぐって、縄張り争いも。こうして大きくなり、秋になると産卵。そして一生を終えます。そんな命のサイクルを繰り返してきたのです。