■「プーチン離れ」か ロシア・政権幹部ら辞任
ロシアでは“プーチン離れ”とも思われる動きも出ています。大統領特別代表のチュバイス氏が辞任したということなんです。このチュバイス氏は1990年代にエリツィン政権で経済改革を主導。2020年にプーチン政権で大統領特別代表に就任していました。今回のウクライナ侵攻に反対して辞任し、既にロシアを出国していると海外メディアは報じています。
それに対し、大統領府のペスコフ報道官は「自らの希望で辞めたのであって、国を去るかどうかは彼の問題」だとしています。
それからもう1人、ロシア中央銀行総裁のナビウリナ氏なんですがこの方は20年近くにわたり、ロシア・プーチン大統領と緊密に連携していました。ウクライナ侵攻後に辞任しようとしたところなんですが、プーチン大統領に引き留められ、再任したという情報が出ています。
ホラン千秋キャスター:
畔蒜さん、この2人の辞任というのは“プーチン離れ”なのではないかというふうに報道されていたんですけれども、ナビウリナ氏のように、「辞任後に引き留められて再任」というのは、これはどういった背景があるんでしょうか。
笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
そうですね。辞任にしたかったけども辞めさせてもらえなかったということなんだと思うんですよね。ナビウリナ氏もチュバイス氏も、プーチン政権を元々支える支持層というのは、いわゆるKGBとか軍とかの、いわゆる「シロビキ」という人たちと、もう一つはナビウリナ氏やチュバイス氏のように、どちらかというとリベラルな、西側との経済の協力も含めて重要視するという、そういうグループがいて。実はプーチン大統領は元々その両方にまたがって政権が成立していたわけですけれども、やはり今、間違いなくその層が「シロビキ」などの層にグッと偏ってきていて、もともと支えていった人たちが徐々に離れつつあると。その一番の大きな出来事がチュバイス氏の辞任ということなんだと思いますね。
ホランキャスター:
あと、「G20からロシアを排除するべきだ」というバイデン大統領の発言もありましたけれども、これは「G20」にロシアのプーチン大統領が来た方が、何かしらのコミュニケーションを取ることができるというふうには取れないんでしょうか?
畔蒜さん:
バイデン大統領としては、まずロシアを孤立化させるということが最優先。というのは、やはり「G20」となると中国の習近平氏もそうですし、あるいはトルコのエルドアン大統領もそうですし、プーチン大統領が話のできる人たちが集まってきます。だからプーチン大統領は「G20」に行きたいということなんだと思うんですけども、今はやはりできるだけ「プーチン大統領を、ロシアを国際的に孤立化させる」ということが今のアメリカの優先課題ということなんだと思います。
井上貴博キャスター:
この「プーチン離れか」ということで、でも本当にそんなに簡単なのか。例えば西側も日本も今、ロシア国内でプーチン大統領が孤立化して政権が倒れるというところを待っているように傍から見ると感じるんですけど。そんなに短いタイムスパンでプーチン政権が倒れるなんてことがあるのかどうかということについてはどうご覧になっていますか。
畔蒜さん:
私はそんなに簡単ではないと見てます。プーチン大統領の支持率そのものも、それほどまだ大きく劇的に下がっているということではないです。依然として国営の世論調査会社のデータですけど、やはりまだ70%以上がプーチン大統領の今回の戦争を支持している、ということですし。要するにロシアのプーチン大統領を支える根幹はやはり「シロビキ」という治安部隊、軍の部隊ですので、そこに関してはまだプーチン大統領から離れているという気配は今のところないということですね。
井上キャスター:
真綿で首を絞めていくような状況にしたいんだけれども、その時間が長引くほど、ウクライナで人の命が失われていくという状況が続いています。

















