田中、廣中、山本の世界陸上代表入りの条件は?
田中は1500mで3分59秒69、5000mでは14分31秒88と、2種目で昨年のうちに世界陸上参加標準記録を突破している。両種目とも日本選手権で3位以内に入り、代表に内定する可能性は大きい。ケガなどがない限り間違いないだろう。だが廣中と山本の状態も上がっているので、優勝に関しては田中といえども、少しのミスがあれば逃すことになる。
前日本記録(14分52秒84)保持者の廣中は昨年、21年から続いていた五輪&世界陸上の連続代表入りを故障で逃したが、クイーンズ駅伝(3区区間2位。チームは優勝)で復帰。10000mでは今年4月の日本選手権に優勝(31分13秒78)して完全復調をアピールした。
日本選手権では「スタミナとスピード持久力は確認できたのですが、(ラストスパートで)スピードのギアを上げることがスムーズにできませんでした」と課題を挙げていた。5月末のアジア選手権でも30分56秒32(2位)と、1年半ぶりに30分台をマークした。
田中に勝つには世界陸上標準記録の、14分50秒00を上回るペースに持ち込む必要がある。その上でラスト1000mなど、ロングスパートで勝負を挑むのではないか。敗れても3位以内で標準記録を破れば、世界陸上代表に内定する。日本選手権の結果次第ではRoad to Tokyo 2025(標準記録突破者と世界ランキング上位者を1国3人でカウントした世界陸連作成のリスト)で、出場人数枠の42人以内に入る可能性もある。日本選手権で3位以内に入れば8月末のRoad to Tokyo 2025の最終順位が確定した段階で代表入りする。
山本は4月の金栗記念で15分12秒97の自己新をマーク。アジア選手権でも15分16秒86と、昨年までの自己記録に迫るタイムで3位に食い込んだ。自己記録の比較では田中(14分29秒18=日本記録)との差は大きいが、金栗記念ではラスト1000mを2分54秒8でカバーした。もう一段階のレベルアップができれば、レース展開次第では山本にも勝機が生じる。
山本はRoad to Tokyo 2025で27位につけている。日本選手権で3位以内に入れば8月末の、Road to Tokyo 2025の最終順位が確定した段階で代表入りする。アジア選手権から帰国時に、山本は以下のようにコメントした。
「もちろん3番以内を取ることがありますが、ブダベスト世界陸上とパリ五輪に出させていただいて、日本の長距離界は田中さんだな、廣中さんだな、と思いました。その次に私の名前も並ぶような走りを日本選手権でしたいな、と思います」
山本は2人に負けないインパクトを残すつもりだ。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は左から山本選手、田中選手、廣中選手

















