イタリアの新拠点で立ち直りの兆し
グランドスラム・トラックなどの連戦でショックを受けた田中だが、立ち直りのきっかけはグランドスラム・トラックのスケジュール変更だった。4月4~6日のキングストン大会(ジャマイカ)と、5月2~4日のマイアミ大会(米国)は5000mと3000mが中1日で行われたが、5月30日~6月1日のフィラデルフィア大会(米国)は3000mだけになり、6月27~29日のロサンゼルス大会(米国)は延期された。
田中コーチは「逆に良い方向に向かい始めた」と、急なスケジュール変更を歓迎している。「今季の連戦を振り返ると、トレーニングがしっかりできていないと感じていましたし、日本選手権に向けてもう一度、気持ちも体もしっかり作り直したいと思っていました」。
腰を落ち着けて練習ができるスケジュールになり、6月15日のダイヤモンドリーグ・ストックホルム大会(3000m11位、8分50秒18)後はイタリアのフェラーラで約1週間、高地のリビーニョで約10日間のトレーニングを行った。田中コーチが知己を得ているイタリア人コーチが、指導をしているチームの練習に加わった。イタリアの代表になるであろう選手が3人在籍しているという。
「自分の強みを見失いかけていましたが、イタリア代表レベルの選手と一緒に練習して、後半の粘りが田中の方が良かったりしました。同じメニューを行ったときに、練習しながら乳酸値も測定して、データ的にも彼女たちより良い数字が現れたりしたんです。自分の強みを再確認しました」
結果論にはなるが、グランドスラム・トラックのロサンゼルス大会がなくなったことで、レースで“揉まれる”強化ではなく、「自分を見つめ直す」ことができた。日本選手権に向けて良い流れを作ることができたようだ。

















